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  5. 第56回:パパ・ママに伝えたい“頑張りすぎ”を防ぐためのヒント
パパと子ども

目次

子育てマンガ「完璧じゃなくていいんだよ」

完璧主義のパパと、子どものイラスト

洗濯するパパと、子供を抱いたママのイラスト

顔が怖いパパのイラスト

散歩するパパママと子どものイラスト

片付けをさぼろうとする子どもと、パパのイラスト

 

おつかいは任せて!パパは買い物上手

プロフィール
エイイチ
東京のデザイン会社に勤めた後、フリーランスのイラストレーターに。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭インターナショナル・ショートフィルム・ショウケース部門優秀アニメ賞を受賞するなど、アニメ、漫画、イラストの制作で頑張るパパ。

 

パパ・ママに伝えたい“頑張りすぎ”を防ぐためのヒント

 育業(※)した0歳児パパの半数が「また育業したい」と前向きに受け止めている一方で、パパもママも、家事・育児・仕事に頑張りすぎている傾向も…!? 東京都が実施した「男性の家事・育児実態調査2025」では、このような結果が明らかになりました。父親支援の普及・啓発を行っているDaddy Support協会理事の中西信介さんに、頑張りすぎを防ぐためのヒントや、今後必要と思われる社会の変化などを伺いました。
※「育業」とは、東京都の公募によって決まった「育児休業」の愛称。東京都では、育児は「休み」ではなく「未来を育む大切なしごと」と考えるマインドチェンジを進め、育業を社会全体で応援する気運醸成に取り組んでいます。
中西信介さん写真
中西信介さん/Daddy Support協会理事・保育士
国家公務員を経て、現在は都内を中心に保育園を運営する企業に勤務。3児の父、これまでに1年ずつ、合計3年間の育業を経験。1人目の育業中、父親が一人で育児を担うことはまだ少数派であり、社会的な支援環境が乏しいと痛感。2022年に2人目が誕生した際、同じ問題意識を持つ仲間3人で「Daddy Support協会」を共同設立、父親支援の普及・啓発活動を開始。父親と家族を支えるための「父子手帳」プロジェクトなど、様々な取組を行っている。
パパ・ママに伝えたい、“頑張りすぎ”を防ぐためのヒント

一番しんどい職場復帰のタイミングをスムーズに
 東京都が実施した調査では、男性の育業取得率は年々増加傾向にあることがわかりました。特に0歳児のパパでは、育業取得率が約65%、そのうち1か月以上育業した人は約33%となっており、最近パパになった人ほど育業の取得率も期間も増えています。

育業期間のグラフ【「男性の家事・育児実態調査2025レポート」より】

 私の周囲でも、パパが育業する話を頻繁に耳にします。一方で、多くの人が最も大変だと感じているのは、職場復帰のタイミングです。夫婦が同時に育業し、一緒に育児に専念していた環境から、突然2人とも仕事と子育てを両立しなければならなくなるため、大きなギャップを感じるケースが多く見受けられます。また、2人ともフルタイムで働くのが難しい場合、先に復職したパパは通常通りの勤務を再開する一方で、後から復職するママは短時間勤務を選ぶ方が多い傾向にあります。その結果、ストレスや葛藤を抱えるというママの声もよく聞きます。
できれば妊娠している間から、復帰のタイミングだけでなく、復帰後の働き方について夫婦で話し合っておくことが大切です。出産前に育業後のことまで想像するのは難しいかもしれませんが、少しでも相談の場を作っておけば、お互いにどのように育業するか、育業中の過ごし方などを考える良いきっかけになります。
 また、産後しばらくしたら、夫婦で順番に家事・育児を1人で経験する日を設けるのがおすすめです。そうすれば、それぞれが自分一人で家事・育児を回せる力がつき、保育園に向けた準備にもなります。家事・育児の基準は、主導権を持つ人によっても変わるため、パパも自分のやり方で家事・育児をできるようにしておきましょう。ママが先に職場復帰しても、パパは余裕を持って育児ができます。

「家事や育児を一生懸命こなす」ことから一歩離れてみる
 調査によれば、パパとママの平日の自由時間は平均して約2時間でした。自分の時間を確保するためには、家事や育児を「完璧」にこなすことを手放し、「テキトー」(適当)を目指すのがおすすめです。家事や育児をどう分担するかに意識が向きがちですが、まずは家事や育児そのものの基準を見直し、双方が譲れる範囲を広げることが大切だと思います。
 例えば我が家では、部屋を常に片付けることや、洗濯物をすべて畳むことを完全に諦めました。ただ、部屋が散らかっているとストレスを感じる方もいると思うので、夫婦でしっかり話し合うことが重要です。お互いに「家事や育児を一生懸命こなす」ことから一歩離れて、それぞれのタスクが本当に必要なのか考えてみましょう。不要なことを減らすことで、自分がやりたいことに集中でき、例えば子どもに“だし”から取った料理を食べさせたいというのであれば、そこに時間を使えるようになるなど、自分自身の価値観や生き方も明確になるのではないでしょうか。 一日の平均自由時間のグラフ

【「男性の家事・育児実態調査2025レポート」より】

守るべきは「睡眠」と「夫婦の会話」
 今回の調査で、睡眠不足のパパ・ママが多いことがわかりました。この点は特に重要です。“産後うつ”のようなメンタル不調は、女性だけでなく男性にも起きやすく、睡眠不足もその大きな要因の一つと考えられます。仕事と家事・育児で忙しい毎日になりがちですが、まずは、睡眠時間を増やすことが大切です。

平日の睡眠時間のグラフ

【「男性の家事・育児実態調査2025レポート」より】

 また、毎日10~15分でも夫婦で会話する時間を持つことで、お互いに余裕ができ、「ありがとう」と感謝の気持ちも伝えやすくなります。仕事が休みの日は家族で過ごすことが多いと思いますが、夫婦2人だけの時間も意識して作りましょう。食事や趣味、カフェなど短時間でも構いません。祖父母やベビーシッター、一時預かり保育に預けてでも、夫婦の時間を作った方がいいと思いますし、最近はリフレッシュ目的で一時預かり保育が使える自治体も増えてきています。子どもが生まれる前は、お互いの人生やキャリアを応援する間柄であったはず。パパとママの関係性ではなく、パートナーとしての関係性をきちんとメンテナンスすることは重要です。睡眠時間や夫婦の会話を大切にしてほしいですね。

中西さん一家の写真

父親支援が当たり前になる社会に

1人で「頑張る」父親→周りを「頼る」父親へ
 私と同じ世代や近い年齢の父親は、「男性とはこうあるべき」といった価値観の中で育った方が多い印象です。大人になっても、そうした固定観念が影響して子育て中に弱音を吐けず、一人で抱え込んでしまうケースが少なくありません。こうした状況を変えて、もっと気軽に周囲の助けを得られるよう、社会全体で父親をサポートする仕組みづくりが大切だと思います。「スマートフォンで我が子を上手に撮影するコツ」や「子どもと楽しむ筋トレ」など、父親が実際に役立つ知識や体験を提供できる場を設ければ、男性の参加もしやすくなり、自然と子育てに関する悩みも話しやすくなるのではないでしょうか。

パパも産後や育業中に体調を崩すことがある
 最近では、何でも当然のようにこなす父親像が打ち出されることが多いですが、急に育業に入ることで社会とのつながりを失い、キャリアへの不安や睡眠不足から心身のバランスを崩してしまう男性も少なくありません。こうした健康リスクは、男性にも起こり得ることとして世のパパたちがもっと認識する必要があります。そのために、普及・啓発活動が大切です。これまで育児の担い手は主に女性とされ、国や自治体の支援もその視点で進められてきました。今後は、支援する側の考え方も変化し、父親も支援の対象とされるのが当たり前の社会へ変わっていくことが重要だと思います。

中西さん一家の写真

自分自身が幸せであることを大切に
 パパ・ママには、まず自分自身が幸せであることを大切にしてほしい――これは私個人の思いであり、私たちが立ち上げたDaddy Support協会の基本的な考え方でもあります。親になることで、周囲からの期待やプレッシャーから、子どものことばかり優先し、自分の時間やキャリアを犠牲にする状況になってしまう人も多いようです。
 ただ、自分が健康で心が満たされていないと、パートナーや子どもにも穏やかな気持ちで接することは難しくなります。「子育てはこうあるべき」といった固定観念から離れ、自分自身が充実できる方法を最優先で考えてほしいと思います。それは、一人で趣味を楽しむ時間や、夫婦でゆっくり話すひとときかもしれません。親である前に、まず一人の人間として毎日を楽しむことを大切にしてほしいと願っています。

 

東京都「男性の家事・育児実態調査2025」
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/danjo/wlb_top/0000001374/R7chosa