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エース社員の育業は人材が育つ絶好の機会!男性育業で生まれる社内の好循環
PwCコンサルティング合同会社

 令和5年度東京都女性活躍推進大賞・優秀賞を受賞したPwCコンサルティング合同会社は、インクルージョン&ダイバーシティの一貫として男性の育業推進に取り組み2023年度の男性の育業取得率は83%、平均取得週数(土日除く)は7.2週間でした。

 実際に長期の育業を経験したコンサルタントの川口健太さんと、川口さんの上司で上席執行役員の堀井俊介さん、I&D担当で執行役員の谷川真理さんに、育業推進のメリットや取組の具体的な内容について伺いました。(以下敬称略)

川口さん、堀井さん、谷川さんの写真

※川口さんは、会社の休暇制度や有給休暇制度を利用して、3か月強の休みをとりましたが、この記事では「育業」としています。

多様な人材の柔軟な働き方を支援するI&Dの取組

谷川 インクルージョン&ダイバーシティ(以下I&D)とは、多様な人材を受け入れて活かすことで、当社を含むPwC Japanグループは、海外人材や障がい者など多様な人材が活躍しています。バックグラウンドや価値観が異なる人たちがお互い仲間を認め合いながら協働できるというのが重要です。グループで働く全ての人が最高に輝き続けることができる。これが、PwCが目指すI&Dの姿です。

 I&Dの取組の中で育業に関係するものとして、働くパパママが個別の悩みを相談し合える「ワーキングペアレンツ」といった社内ネットワークや、育業に関する社内イベントなどがあります。さらに、パパ用育休ガイドも作成しています。また、男性社員にアンケートを取り、育業したいけれどできないという人に対して、協働するメンバーがサポートするバックアップ体制を整えるなど、個別のフォローも手厚く行っています。

谷川真理さん写真谷川真理さん

育業を躊躇する人の不安を、最初の入口で取り除く

堀井 当社のコンサルタント職のメンバーは、基本的にプロジェクト単位で働いています。そのため、「育業したい」と早めに言ってもらうことで仕事の調整がしやすい面もあり、当社の育業取得率アップに影響していると思います。

 私は「育業したい」と申し出た社員に対して、間髪を入れずに「取りましょう!」と言うことを心掛けています。これは、上司としてのポーズということではなくて、私自身が過去に育業し、育業は男性にとって、とても良いことだと身をもって経験しているからです。パートナーへの気遣いだとか、言語化していない子供のニーズをくみ取ることなど、育業中の経験が視野を広げ、仕事に戻った時にこれまで以上にいろいろなものが見えるようになります。実際に川口さんも、育業を終えて以前よりも一層たくましくなって戻ってきてくれました。

 育業したいという人に対して明るく背中を押して、最初の入口で不安を取り除いてあげることが、とても大事だと考えています。

堀井俊介さん写真堀井俊介さん

谷川 当社は長めに育業する社員も多いのですが、長めの育業が中長期的なキャリアにどのくらい影響を与えるのか不安を持つ人が、特に男性に多い傾向があると感じます。そのような場合は、中長期的な目線でその人のキャリアについて話し合って、「今ここで育業をすることで、今後さらにキャリアアップしていくことを目指しましょう」と前向きなメッセージを発信するようにしています。

親としてのスタートラインを妻と一緒に切りたい。先輩パパがいたから踏み出せた

川口 私は第一子の誕生前後、202212月末から20233月末まで育業しました。当社は「配偶者の出産特別休暇」として5日、「育児特別休暇」として男女とも15日の有給休暇が取得できます。その2つと、有給休暇を組み合わせて3か月強の休みをいただき、その間、妻と子供と多くの時間を過ごすことができました。

 育業前は、一度キャリアが大きく切り替わることに不安がありました。でも、子供が生まれる時には、親としてのスタートラインを妻と一緒に切りたいという思いがあり、不安があっても絶対に取ろうと決めていました。妻には「そんなに取って大丈夫なんだ」と驚かれましたが、制度があり、それを活用している身近なメンバーが大勢いるという社内の状況を共有しながら、育業の時期と期間について決めました。

 実際に育業を経験した先輩パパから具体的なアドバイスをもらうことで、育業に対する周りの温かさを感じ、育業中の具体的なイメージを膨らませられたことも、一歩を踏み出せた要因だと思っています。

川口健太さん写真川口健太さん

谷川 川口さんはグローバル案件に関わることも多く、様々なプロジェクトのキーマンとして活躍しています。その川口さんがパパになり3か月育業すると聞いた時は、孫ができたかのようにうれしかったですし、周りに与える良い影響が非常に大きいと思いました。

エース社員の育業は社内の人材が育つ絶好のチャンス

堀井 川口さんはとても頼りになる存在なので、クライアントはプロジェクトから抜けてほしくないと思われるかもしれません。でも私たちからすると、「我が社には川口さん以外にもしっかりとしたコンサルタントがいます」とアピールできるチャンスになります。

谷川 我々はプロジェクト単位で働いているので、プロジェクトでその時々に必要な人材を集めて最大の価値を生み出すという働き方なのですが、育業で誰かが抜けると、余分な仕事や負担が増えると考える人もいるかもしれません。みなさんが前向きになれるように、私は周囲に対するメッセージも大切にしています。例えば、川口さんがやっていた業務を他の人に担ってもらう場合、「代わりにお願い」という言い方はしません。「この仕事にはあなたが必要で、あなたにぜひやってもらいたいからお願いする。なぜなら」という部分をきちんと説明します。また、先輩が不在の間にその人を超えるパフォーマンスを発揮してもらえるよう、若手をその仕事に任命して、成長の機会を作るようにしています。

育業中の経験が成長を加速させる

川口 育業を終えて、仕事も大事だけれど家族との時間も同じように大事だと実感し、オンオフの切り替えがしやすくなりました。両方のバランスを取るために仕事の効率をどうやって上げようとか、周りと協力できる環境を作るにはどうすればよいかなど、様々な視点をもらえた3か月でした。

例えば、周りのメンバーへのリスペクト。パパとの二刀流で仕事をしている人は、こんなに大変な状況でプロジェクトをかけもちしながら結果を出していたんだと気付かされました。そういう人たちが身近にいることは心の支えにもなり、自分の仕事にも良い影響が出ていると思います。

また、コンサルタントは学生の頃から夢見た仕事ですが、業務から一旦離れることで仕事への想いが一層強くなり、今後どうしていきたいのか、自分のキャリア形成について再認識する期間でもあったと感じています。自分にとっては様々な点でポジティブな影響が多かったです。

子供をかかえる川口さんの写真

谷川 もともと川口さんはプロジェクトを率いる中で後輩の面倒見もよく、リーダーシップを発揮してくれていました。育業を経験してから、そこに厚みが加わり、メンバーたちのバックグラウンドや置かれている状況に配慮しながら、アドバイスや会話ができるようになったと思います。育業でしっかり経験を積んで成長して戻ってきてくれたと感じます。

育業は「さらに強い戦力となって戻ってくるための期間」

谷川 上司や経営者の目線からすると、育業は「1人戦力が減る」とか「穴埋めをしなければ」というマインドになりがちだと思います。でも、育業を「その人がさらに強い戦力となって戻ってくるための期間」と捉えてもらうことで、気持ちよく送り出すことができますし、帰ってくるのも楽しみになるのではと思います。

 また、育業というと、どうしても休みを取る前の引継ぎや取得中の体制のことなどに焦点を置きがちですが、本人が復帰してからの活躍をいかにサポートできるかということも合わせて考えていただけたら非常に良いですね。

 

川口 私の場合は会社の制度や周りの環境に助けられましたが、世の中を見てみると男性の育業はまだ当たり前ではないと感じています。でも、誰かが声を上げれば世の中がポジティブに動き出すとも感じています。「周りに迷惑をかけてしまうのでは」という躊躇もきっとあると思いますが、取った時と取らなかった時の影響は全く違うはずです。取らなかった場合、今後育業を取りたいと考えている人に対して「先輩は取らなかったけど自分は取っていいのかな」と、ひとつ壁を作ってしまう気がします。逆に育業を取ることで「先輩が取ったから自分も取りたい」という流れになれば、社内で助け合いや思いやりのサイクルが回っていくきっかけになると思います。

 育業は自分や家族のために取るものと思われがちですが、少し視野を広げてみると、会社や部署、周りの上司や部下の皆さんにもプラスの影響がたくさんあります。育業を考えている人は、前向きに検討して、是非実行に移していただきたいと思います。

川口さんの家族写真