令和4年度東京都女性活躍推進大賞 大賞を受賞したマム・スマイルは、無料子育て情報誌「イタバシーナ」の制作などを通じて、ママの社会復帰と地域活性化を推進している団体です。
今回は、マム・スマイルによるスペシャル企画!これまでの活動を通して出会ったママたちの家事・育児に関するリアルな声を、全3回に渡りお届けします。
2回目のテーマは「家事・育児分担」。家事や育児、仕事で忙しい日々を過ごしている中で、「時間が足りない」という方も多いのではないでしょうか。そこで、3家族に1日のスケジュールを見せてもらい、ママ・パパがどんな工夫をしているのか聞きました。マム・スマイル代表で、一般社団法人 育児キャリアアップ推進機構の坂東愛子代表理事によるアドバイスも合わせて紹介します。
川上家
4人家族:ママ・パパ・子供2人(小学4年生の女の子、保育園年長の男の子)
子供が1人の時は、家事も育児もママが全てやっていたという川上家。ママもそれが自然なことと思っていたため、パパに「やって」とは、言わなかったそうです。2人目を考えた時に、自分1人だけでは家事も育児もできなくなると思い、役割分担を夫婦で話し合いました。
<家事>
・下の子を保育園に送るのはママですが、出勤時間が遅めのパパが朝食後の食器洗いを担当しています。
・食事は楽しさを優先したいので、惣菜を買ったり、外食したりと、無理に自炊はしません。また、電子レンジでできるレシピを調べて活用しています。
<育児>
・出張で長く家を空けることもあるパパが子供の行事に行けるように、年度始めに、保育園や学校の年間予定をスケジュールアプリで共有するようにしています。
・日曜日の午前中は、子供2人が同じ習い事をして、家族4人で行くことにしています。その待ち時間の間に夫婦で1週間の予定を共有したり、育児や教育に関してママの考えていることを話したりしています。
<その他>
・平日は忙しいので、休日の朝と夜に自分の時間を取るように。自分が元気じゃないと家が回らない、自分のやりたいことをやった方が頑張れると思い、休日の朝に自分のための習い事(英語)を始めました。
<悩み>
・平日は仕事と家事・育児、休日は子供の習い事もあって時間が足りず、家事を納得いくまでできていません。
坂東さんのアドバイス
習い事の待ち時間を活用して、夫婦で話し合う時間を設けているのが良いですね。特に、子供の教育について夫婦で意識合わせができているのが素晴らしいです。
ママが“平日の自分の時間は無し”と割り切って、その分、休日の朝や夜に自分の時間を持っているのも良いと思います。
家事を納得いくまで出来ていないということですが、月に1日でも、どちらかがが子供2人を見る日を作り、もう一方が家事をしっかりやる日を作っても良いかもしれません。また、出来ていない家事をリストアップして、お風呂掃除は年に1回業者に頼むなど、プロの手を借りるのも一案です。
福嶋家
4人家族:ママ・パパ・子供2人(保育園年長の男の子、年少の男の子)
家事を夫婦で分担するようになったのは、長男出産後のパパの転勤がきっかけ。知っている人が誰もいない環境でのワンオペ育児で、ママが辛くなってしまったそうです。ママの仕事復帰と長男が保育園に入るタイミングで、役割分担の見直を行いました。
<家事>
・パパから「手伝うことある?」と聞かれるのが嫌で、「私はこんなにやっている」という意味も込めて、やっている家事をリスト化して壁に貼りました。「リストの中でママがやっていないものをやって」と言うことにしています。
・消耗品のストックの置き場は2人で共有し、気づいた方が補充をできるようにしています。
・お互いに得意なこと、苦じゃないことをやるように。パパは黙々と作業するのが得意なので、洗濯物をたたんでしまったり、片付けをしたり。ママは綺麗にするのが好きなので、食器洗いや掃除を担当しています。
<育児>
・休日は、褒めてやる気を出させるのが上手なパパが、プリントやタブレット学習など子供の勉強のサポートをやっています。
・洗濯物の収納も、パパが子供たちに自分の服は自分で収納するよう促しています。
<悩み>
・食材を使いきれない時があって困っています。毎日献立に迷います。
坂東さんのアドバイス
リスト化で、家事を見える化し、分担を円滑にしているのは、良い工夫ですね。
また、子供の勉強サポートをパパが担っており、ママが1人でやりがちな登園準備や寝かしつけもパパがしているのが素晴らしい!
食材を使い切るには、残りの食材を何でも入れられるような料理を定期的に作ることをおすすめします。例えばカレーや鍋などが定番です。平日は簡単にすませ、週末は、子供たちと一緒に手の込んだものを作るなど、料理にもメリハリをつけるのが大切です。
大久保家
4人家族:ママ・パパ・子供2人(幼稚園年長の女の子、保育園年少の女の子)
パパの仕事が不規則な大久保家ですが、家事は上手に分担できているそう。ママの父母が家事を半分に分担していたため、ママはそれが普通だと思っており、妊娠中からパパにも家事・育児をやってほしいと話していました。
<家事>
・パパの仕事が不規則なため、シフトが出たらすぐに共有してもらい、それを元に買い物の日程などを決めています。
・分担は、得意な方、苦にならない方がやるようにしています。例えば、掃除や料理はパパの担当。洗濯もパパが朝起きたら、パジャマを入れて洗濯機を回すというのがルーティンになっています。ママはスケジュール管理や勉強のサポート、デジタル関係の整理が得意なので、それらを担当しています。
・掃除は、テーブルを拭くなど最低限のことはしますが、毎日はしていません。パパが休みの日や遅番の日に、トイレ掃除と風呂掃除をしてくれて、ちょっと散らかってきたなと思ったらママが掃除機をかけたり片付けをしたりします。
<育児>
・お風呂→ご飯→寝かしつけの順番を崩さないようにしています。夜は寝かしつけ最優先。他の家事が予定通りにいかなくても、寝かしつけした後や翌朝に取り返すという共通認識を夫婦で持っています。
<その他>
・朝、手帳に予定や目標を記入することで、スケジュールの確認はもちろん、「今日はこれを達成する」という目的意識を持って1日を過ごせます。
坂東さんのアドバイス
パパ主体で料理しているのは素晴らしい!ママが全てやる必要はありません。また、スケジュール管理を徹底していて、優先順位を決めるのがとても上手ですね。
今は家事・育児分担の悩みがほとんどないそうですが、それは、できる人や得意な人がやり、全てを完璧にしようとせず、優先順位を決めて、時間や気持ちに余裕が持てているからだと思います。
家事分担のキホンは、家族のコミュニケーションにあり!
3家族とも、子供の年齢やママ・パパの働き方などは異なるものの、それぞれ工夫することで時間をうまく使っていました。
家族みんなで家事・育児を分担するためには、「家事の見える化」「情報共有」「完璧にしようとしないこと」の3つが大切なポイントです。「家事の見える化」には、第1回目の記事(※リンク)で紹介した「名もなき家事」のチェックシートを使ってみると良いかもしれません。今どんな家事があって、誰がやっているのか、夫婦や家族で一緒に話し合いましょう。「情報共有」もコミュニケーションをとらなければできませんね。3つ目の「完璧にしようとしないこと」も、何でも完璧を目指すのではなく、まず、どんな暮らしがしたいのか、夫婦や家族で話して共通の意識を持つことが大事です。目の前の家事や育児をこなすことに追われて後回しにしがちですが、コミュニケーションをとることを最優先にすると、家事も育児も仕事も、きっとうまくいきますよ。今回紹介した3家族はそれができていると思いました。
ぜひ今回の記事を家事分担について夫婦でコミュニケーションをとるきっかけにしていただけたらと思います。
坂東愛子
一般社団法人 育児キャリアアップ推進機構 代表理事
ママコミュニティマム・スマイル代表
保育園フォレスタ・志村三丁目 園長
育児女性の社会復帰を支援するママコミュニティ「マム・スマイル」を創立。活動を通じて女性のキャリアや保育の現場の課題を感じ、自ら保育園フォレスタ・志村三丁目を開園。2019年には一般社団法人育児キャリアアップ推進機構を発足し、保育士やママに向けてキャリア支援に関する研修事業を開始。時間管理講座などを行う。
第1回「みんなどうしてる?『名もなき家事』上手な分担法」の記事はこちら。
第3回「子供が小学生になると何が大変?小学生ママの困りごと」の記事はこちら。