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第3回「おにいちゃん!パパとママで家事を分担するのって難しいの??」
「パパは家事を「手伝う」ものなの?ソウタくんの答え探し」

僕はソウタ。小学5年生。10歳になって自分の将来を考えはじめたら、なんだか世の中にはボクにはわからないことがいっぱいあるみたいだ。妹のリコは僕が答えられない難しい事を聞いてくるんだ。

おにいちゃん!パパとママで家事を分担するのって難しいの??

リコのイラスト
ソウタのイラスト

それは・・・難しいのかな?実際、パパも家事をするけど、帰りだってパパの方が遅いし、ママの方がやることが多くなっちゃうのはしょうがない気がするけど?

でも、最近はテレワークとかいうのでパパも家にいる日が増えたよ、料理も作ってくれておいしいけど、洗い物や掃除はしないの。だからママが仕事から帰ってきてからやっていて大変そうなんだ。

リコのイラスト
ソウタのイラスト

得意なことはやるけど、それ以外の家事はやる気が出ないのかな。

洗い物も掃除も二人ともできることなんだし、パパもやる気が出て、上手に家事を分けられる方法はないのかな?

リコのイラスト
ソウタのイラスト

そうだよね。よし、詳しい人に聞いてみよう!

学校から配られたタブレットで家事の分担について調べていると、「家事シェア」という言葉がいろいろなところにあった。これって家事の分担とは違うのかな?もしかしたらここにヒントがあるかもしれない!家事シェア研究家でNPO法人tadaima!の代表三木智有さんに聞いてみよう!

三木智有さんの写真

ソウタのイラスト

パパとママが上手に家事を分担するにはどうしたらいいのか調べているんですけど、パパが決まった家事以外やる気が出せてないように見えるのはなぜでしょうか?

そうだなあ。家事ってどんな家事でも家族みんなに関わることだから、責任は家族みんなにあるもののはずだよね。だけど、ママが家事をしている時にパパは、テレビを見たりスマホを見たり、休んでいるってことかな?これはなんでだと思う?

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

ママがいつもやっている家事は自分の責任だと思ってないからってことですか?

そういうことが考えられるよね。もう少しいうと、パパだけじゃなくママ自身が『家事はママがやらないといけないもの』と思い込んでいる場合もあるんだ。そうするとパパが家事全体に責任を持とうと考えるのは難しいよね。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

なるほど。ということは、パパの「やる気スイッチ」を入れるにはパパだけじゃなくママも思い込みを変えていかないといけないということですね。

うん。パパもママも同じように家事全体に責任を持つようになれば、やる気にも繋がって上手に分け合うことができると思うよ。その一つのやり方として僕は『家事シェア』というのをおすすめしてるんだ。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

『家事シェア』というのは『家事の分担』とは違うんですか?

一見同じように聞こえるかもしれないけど、ちょっと考え方が違うんだ。“分担”というのは、例えばAとB二つのやることがあった時に、一人はA、もう一人はBという風に担当を分けてそれぞれが別々にやること。“シェア”というのは日本語にすると“共有”つまり“一緒に持つ”ということ。AとB、二つをやることの責任は二人で持って、その上で一人がA、一人がBをやって両方を終わらせるということ。わかるかな?

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

なるほど。でも、結局やることは変わりませんよね?

そんなことはないよ。例えば料理を作るのはママ、掃除をするのはパパだったとき、責任が別々だと、ママは料理が終わったら休憩、パパは掃除が終わったら休憩するよね?でも、シェアの場合は“料理と掃除を終わらせること”が二人の責任だから、ママは料理が終わったらパパの掃除に参加、パパは掃除が終わったらママの料理に参加して、料理と掃除の両方が終わるまで二人は休憩をしないという風になるよね。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

ああ!確かにそれは違う!

夫婦の形に合わせたいろんな家事の分け方があっていいと思うけど、ソウタ君のパパの『やる気』を引き出すためのやり方としては効果的なんじゃないかな。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

そうですね。それならママが家事をしている横でパパだけがスマホやテレビを見ている状況にはならないですね。

あと大事なことがもう一つ。夫婦で上手に家事を分け合う方法を知りたいんだよね?それってチームで家事をやるってことだから、やる前に話し合う必要がある。話し合いをしないで勝手にやってしまうと一緒に家事をする家族に迷惑がかかることもあるんだ。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

どんなことを話し合えばいいんですか?

もちろん、まず家事をみんなでやろう、と意識を合わせることも必要だけど、家事がどれだけあるかを確認することも大事。 “名もなき家事”といって、無くなったモノを買ってくることとか、気づきにくい家事もたくさんあるからね。それから、ひとつひとつの家事のやり方も同じにしないといけない。例えば今、ママが中心でやっている家事はママのやり方を知ったり、パパがやっている家事ならパパのやり方を知る。同じルールの中で一緒に進めた方がスムーズだよね。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

確かに。

もうひとつ話し合いで大事なことは『無理!』って言わないこと。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

パパ、無理って言ってるかも・・・

無理!ってバッサリ言っちゃうと会話は終わっちゃう。やるのが難しい時には『無理!』って言いたくなる気持ちもわかるけど、やる時間が無い、やり方がわからないとか、なぜ無理なのかもちゃんと説明すれば、『じゃあ、どうしようか?』って話し合いは続くし、上手に解決する方法も探せるんだよ。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

そうか・・・

そうやって、みんなが責任を持つようになれば、ママ一人だけが家事をしていて、他の家族が休んでいるような状況は生まれない。やっぱり一人だけが動いていると押しつけられているように感じて嫌になってしまいがち。原則はみんなで一緒に家事をしてみんなで一緒に休む。もしも休みたいときは『ここまで終わったからちょっと一回休むね』と声をかける。これだけで、ずいぶん気持ちは違うんじゃないかな。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

あーパパはあんまりそういうことを言ってないかもしれません。

パパだけじゃないよ。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

え?

ソウタくんも家族のひとりなんだから、責任はあるんじゃないかな?

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

えー!でもボクはママやパパみたいに家事はできないな・・・

テーブルを拭いたり、ちょっとモノを片付けたり、できることはあると思う。それに、例えば毎朝自分で起きて、服を着て用意をしたり、リコちゃんの支度をサポートしたりするのも、実は立派な家事なんだよ。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

それも家事なんですか?

家の事は全部“家事”。ママやパパに起こしてもらうことはあるでしょ?そうすると、そのために時間になったらママやパパは家事を一回やめて、起こしに行くから効率は悪くなるんだ。それを自分でやってもらえるだけでも、だいぶ助かるんだよ。

三木智有さんの写真
ソウタのイラスト

そうか、そのくらいならすぐにできるかも。

“分担”とか“シェア”っていうと難しく聞こえちゃうかもしれないけど、要はみんなで一緒に考えて支え合うだけでいいんだから本当はそんなに難しいことじゃないはず。それに同じ量の家事なら一人でやるより、みんなで一緒にやった方が早く終わるし、家族がゆっくり過ごせる時間も増えるはずだよ。

三木智有さんの写真

その日の夜、ボクはお風呂からあがったあと、自分でパジャマを用意して寝る支度をした。そして、リコの支度をサポートしながら三木さんから聞いた話を伝えた。

そうかぁ。家事は私たちもみんなでやらないといけないんだね。

リコのイラスト
ソウタのイラスト

そうだね。ボクたちも自分たちのことはやるようにしよう

うん!がんばる!

リコのイラスト
ソウタのイラスト

パパも含めてみんなで話し合いもしないとね。

でもさ・・・家事はみんなでするものって言うけど、私が学校から帰ってくるときとかのスーパーとかほとんど女の人なのはどうして?

リコのイラスト
ソウタのイラスト

確かにそうだね。

赤ちゃんを乗せたベビーカーを押しているのもほとんどママ達だし・・・

リコのイラスト
ソウタのイラスト

それは・・・みんな仕事だから・・・

女の人も仕事をする時代になったんじゃなかったっけ?

リコのイラスト
ソウタのイラスト

うん。そのはずだよね。

これってさ・・・

リコのイラスト
ソウタのイラスト

どうしたの?

おにいちゃん!仕事をしないで家事や育児をする男の人って変わってるの??

リコのイラスト

確かに家事はみんなでするものっていうなら、男の人がやってもいいはずだけど・・・
よし!次はそれを調べてみよう!

<協力してくれた人 三木智有さん NPO法人tadaima!代表>

NPO法人tadaima!代表・家事シェア研究家・インテリアコーディネーターリフォーム会社でインテリアプランニング、施工管理、営業販売などの業務を経て独立。フリーのコーディネーターとしてマンションオプションの販売、内装工事、個人宅のコーディネートなどを行う。
2011年。家は家族にとって何より”自分らしくいられる居場所”であって欲しい。そうした想いから、「10年後も”ただいま!”と帰りたくなる家庭」で溢れた社会の実現を目指し、NPO法人tadaima!を起業。
日本唯一の家事シェア研究家として、家事シェアを広める活動を行う。

(次回へ続く)