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子育てマンガ「家で奏でよう」
プロフィール
エイイチ
東京のデザイン会社に勤めた後、フリーランスのイラストレーターに。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭インターナショナル・ショートフィルム・ショウケース部門優秀アニメ賞を受賞するなど、アニメ、漫画、イラストの制作で頑張るパパ。
お家の物で演奏会!パパと音をつかって楽しもう!
新型コロナウイルス感染症流行の影響で、
自宅で子供と接する時間が増えた家庭も多いと思います。
テレビや動画配信サービスなどで、受動的に楽しむだけではなく、
子供達が能動的に自ら行動する遊びを通じて学び、
成長してほしいというパパも多いはず。
そこで今回は、
お家でできる楽しい音遊びをテーマに、
専門家の方々から
音楽と子供の触れ合い方や、楽器を使った音の楽しみ方
歌に合わせて手や指を動かす手遊び歌のやり方などのお話をうかがいました。
音楽を通じて子供とコミュニケーションをとろう!
玉川大学のリベラルアーツ学部で、人の特徴である言語や音楽など音声によるコミュニケーションや、子供と音楽について研究し教鞭を取る梶川祥世さん。 音楽が子供にどのような影響を与えるのかという大きなテーマから、子供と音楽を通じて接する際のポイントなどをうかがいました。
子供の情動をコントロールする歌の役割
音楽にも様々な種類がありますが、特に、歌は子供の感情をコントロールしやすいという研究結果がでています。また、歌は特定の場所や物、時間を必要とせずにおこなえる手軽なコミュニケーション方法であるため、だれでも簡単に取り入れやすく、子供の発育に影響を与えることができる点でも優れているといえますね。
親が子守唄や童謡を歌うことで、子供は前にも聞いたことのあるメロディや歌声に落ち着き、安心を感じます。自分が知っていることを再認知することで、嬉しい気持ちを引き起こすようです。 親も子供の安堵している姿や楽しんでいる姿をみると、喜びになり、関わりあえているという認識を得られ、一体感、絆が生まれ、満足感を得るきっかけになります。
話しかけることよりも、テンポやフレーズが統一されているので、歌は親しみやすく子供の反応も良いので子供とのコミュニケーションに取り入れてみると良いかもしれません。
また、歌に併せてダンスを行うと更に効果的です。1歳程度の子供と大人が一定時間ダンスをすることで、子供の中に仲間意識が芽生え、初対面の方でもかんたんに警戒心がなくなり、お手伝いをしようとする素振りを見せたというような研究結果もありますね。
音の種類と子供の反応
歌や音を聞かせる際にその種類によっても子供の反応に変化がでることがわかっています。
例えば、子供が機嫌の良いときに、ゆっくり、のんびりとした音楽を聞かせることによって、次第に眠くなります。生後わずかな子供であっても、音楽から気持ちを感じ取る力がすでに優れているため、このような様態の変化をみることができます。 声が低いと怒っている、声が高いと喜んでいるといった、感情表現も理解することができます。
ただ、音程が理解できるようになる6歳程度までたくさん音楽を聞かせたからといって、プロになれるほど歌がうまくなったり、リズム感が優れるなど、音楽の才能を開花したり、能力を取得できるかというとそこはあまり関係が無いと思います。(笑)
年齢と音楽のふれあい方
歌いかけることによる子供の状態の変化は、生後3ヶ月から見ることができます。よそ見をしている子供に親が歌いかけることで、声をだしたり、手足をばたつかせるなど、明らかな反応の違いがあります。
1〜2歳では、自分の好みの音楽を知り、曲によって目を輝かせたり、アクティブな反応を示します。3〜5歳では、次第にリズムをとることができるようになり、自分の声や周りの声に合わせ、歌いはじめます。6歳以降になると、音程をとることができるようになります。 親から一方的に歌いかけることも必要ですが、子供の反応によって動き方や歌い方を変化させることで子供に楽しい感覚を味わってもらうことも大切です。
親が楽しむと子供も楽しい
子供に伝えよう、喜ばせようと気負うのではなくパパ・ママ自身が好む、楽しめる音楽を分け合うというスタンスでいるほうが、子供も楽しい気持ちになります。昨日聴かせた歌を覚えているか、縦揺れと横揺れどっちのほうが喜ぶかというような実験感覚で、子供の心地よさを探す楽しさを味わってください。
身近なもので、楽器を作ってみよう!
保育や子育てが広がる”遊び”や”学び”の情報やアイデアを掲載しているWebサイト「HoiClue」を運営する株式会社キッズカラーの雨宮みなみさん。日々成長する子供たちの隣で過ごすにあたり、自分自身も成長していくために、知識と経験を常にインプットし続けることが大切だと保育士時代に感じ、10年前にメディアの運営を開始。多くの方にインタビューするなかで広がった価値観についてのお話を、音楽や楽器遊びのテーマと絡めて伺いました。
身近な“音”を楽しむ
わたしたちの日常は、様々な音で溢れています。風で木がざわざわ揺れる音、電車が通る音、食器がカチャカチャ重なる音、おもちゃとおもちゃがぶつかる音、手をたたく音…「音楽に触れよう!歌をうたおう!」と身構えずとも、そんな風に日常を通して“音”を楽しんでみると、子供だけでなく、大人にもいろいろな発見がありそうです。
子供の“やってみたい”を大切に
“音”が鳴る楽器を、自分たちで作ることもできます。例えば、小さな子供も楽しみやすいのが、マラカス。
小さなペットボトルや乳酸菌飲料の容器に、ビーズや、切ったストロー、お米、あずき、どんぐりなどをいれて、蓋を閉じるだけでできますので、お家でも楽しめます。(※誤飲には気をつけてください。蓋の上からビニールテープなどを巻くと安心です。)
中身の素材や、入れる量によって音が変わるので、色々な種類を作ってみたり、子供たちと作る場合には、何をどれくらい入れるとどんな音が鳴るのか、実験してみるのもおもしろいですね。
また、一つのダンボール板に、様々な音が鳴る仕掛けをつけたオリジナル楽器があるのですが、これは子供がとても喜んでいました。こすったり、叩いたり、はじいたり、音の鳴らし方が異なったり、物と物の組み合わせによって、異なる音を奏でることができるため、音が鳴る仕組みや不思議に触れることもできます。
身近な素材で作れるギターも、子供たちに人気の手作り楽器の一つです。廃材を使ってさまざまな楽器をつくってセッションするのも楽しそうですね。
材料は発泡トレイ、ダンボール、色紙、輪ゴム。道具は、はさみやのり、ガムテープ、色を塗るためのクレヨン、マーカーを使います。 色紙をトレイに貼り付け、切込みをいれ、輪ゴムをひっかけ、ダンボールでネックを作り貼り付けるだけ。簡単にオリジナルギターが作れます。
子供たちの年齢や興味やタイミングによって、“音”や音楽への関心の持ち方や楽しみ方はそれぞれです。もしかしたら、大人が「おもしろそう!やらせてあげたい」と思った遊びが、子供の「やってみたい!楽しい」とは異なる場合も。子供が必ずしも興味を持つとは限らないことも織り込み済みで、「子供の興味が向いたタイミングがきたら楽しもう」というぐらいの心持ちでいると、大人も子供も無理なく楽しむことができると思います。
手遊び歌で子供と一緒にあそぼう!
保育士として8年間勤めながら、趣味としてオリジナルで遊び歌をつくりその楽しさに没頭し、いまでは保育士を辞め、遊び歌作家として活動をする福田翔さん。 パパ、保育士、作曲家の3つの目線から手遊びうたと子供の触れ合い方についてお話を伺いました。
歌遊びがすきな子供
手遊び歌を含む様々な種類の遊び歌は、子供と親との信頼関係を築くためにすぐれた手段と言われています。大人に対して信頼や安心を感じた子供は次々に新しいことに挑戦したくなります。子供との良い関係を築くためにも歌をご家庭でたくさん取り入れてほしいですね。
歌遊びは、子供の発達によって楽しみ方も変わります。指が動きにくい乳児期では、手遊び歌は一緒に楽しむというより、親が楽しさを伝えるイメージです。抱っこをしながら、片手で楽しませようとしたことのある方も多いと思います。1~2歳になると指を折り曲げながら楽しむことができ、さらに大きくなれば、体全体を使った歌遊びもより楽しさを感じることができます。
手遊び歌の種類は?
手遊び歌の種類は、歴史から考えるとわらべうたや童謡のようにかなり多くの数がありますが、歌を使った遊び方は、大きく分けると3種類です。
大人が子供に接しながら歌う「ふれあい遊び」や、指先を動かすぐーちょきぱーなどの「手遊び」、言葉と身体の動きを連動させる、また体操やダンスなどの「表現遊び」があります。 子供の発達に合わせて、ひとつの曲を、ふれあい遊びにすることも、表現遊びにすることもできるので、種類にこだわらず、子供の自尊心を満たしながら楽しむことが大切です。
パパの楽しみ方
パパが子供と手遊び歌をする際は、体全体を大きく動かすことで、子供をより楽しませることができると思います。大きく身体を動かすことで、子供はパパが楽しんでいると思い、自分と繋がっていることに喜びを感じます。
私が作曲した「おばけのまち」では、手遊びに併せて体全身も使うことでより子供達は楽しさを感じていますね。
早期教育が注目され、乳児期に多くの学習を行うことも必要ではありますが、絆や信頼関係も育まれやすい時期です。親と子が一緒に遊び歌を行うことで、子供に自己肯定感を体験させることも必要だと思います。
音を楽しむといってもその方法は様々ですが、子供と親のコミュニケーション手段としてはどの方法も非常に有効であると考えられます。また、音は日常にあふれているものやことを意識するだけでよく、歌遊び・楽器遊びなども場所や時間を選ばずいつでも手軽に行えます。パパ・ママの無理のない範囲で、自身が楽しみながら、子供の成長に合わせて音とのふれあい方を工夫してみてはいかがでしょうか。