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第49回:夫婦の協力が不可欠!子供の心を育てる叱り方
パパと子供のイラスト

目次

子育てマンガ「我が家の𠮟るときのルール」

 

我が家の𠮟るときのルール イラスト

泣いてる子供と買い物帰りのパパのイラスト

子供をなぐさめるパパのイラスト

ママと話し合うパパのイラスト

子供とママに叱られるパパのイラスト

 

 

おつかいは任せて!パパは買い物上手

プロフィール
エイイチ
東京のデザイン会社に勤めた後、フリーランスのイラストレーターに。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭インターナショナル・ショートフィルム・ショウケース部門優秀アニメ賞を受賞するなど、アニメ、漫画、イラストの制作で頑張るパパ。

夫婦の協力が不可欠!子供の心を育てる叱り方

 子供の健全な成長のため、どこかで必要になってくるのが「叱る」という行為。
 しかし、「叱ることはいつまでたっても苦手」、

「感情的に怒ってしまって後悔した」といったパパも多いはず。
 そこで今回は、

子供の叱り方について取り上げます。

 子供の心を育てるための叱り方について、主に子供の生活習慣について研究している東京都市大学人間科学部准教授の泉秀生先生にお話を伺いました。叱る前にやっておくべきことや、夫婦の協力のポイントについても解説します!

泉秀生先生写真

 

夫婦の協力が不可欠!子供の心を育てる叱り方
「叱る」とは?「怒る」との違いは?

 簡単に言うと、「怒る」は、視点や主語が「親」、つまり「親の立場や都合から、こうしてほしい」ということを、感情的に伝えてしまうこと、と言えると思います。例えば、仕事に遅れないよう早く子供を保育園に連れて行きたい。しかし子供が身支度をせず、だらだらテレビを見ている。それで親が焦って「何時だと思ってるの!早く準備をしなさい!!」と感情的に子供に言ってしまう。これは、「叱る」ではなく「怒る」です。

 一方、「叱る」は、視点や主語が「子供」です。「どうしたら子供にとってより良いか」を考えながら、感情をコントロールして伝えることです。

 ただし、「怒る」ことが、必ずしも悪いことだとは思いません。不必要に怒ってしまったら、しっかり子供に謝れば良いのです。「悪いと思ったときは素直に謝る」という親の姿勢からも、子供は学びます。また、「叱る」ために、あえて感情的に「怒ってみせる」ことも、状況によっては必要だと思います。

子供を叱るパパママ

 

叱る以前に、やるべきこと

 子育てをしていく中で、叱ることは必ずどこかで必要になると思います。ただし、私は「叱る」はある意味「最終手段」だと捉えていて、叱る以前に、やるべきこと、できることがあると考えています。

① 子供にルールを伝えておく
 ここでいう「ルール」とは、「人のものを盗んだらダメ」といった社会のルールと、「9時までにはベッドに行く」といった家庭内のルールの両方を指します。
 叱る以前に、守らなくてはいけない理由も含めて、子供とルールを共有しておく必要があります。ルールはコロコロ変えるのではなく、一貫して何度も同じことを繰り返し伝えることが重要です。

② 子供がルールを守れるよう、環境を整えてあげる 
 例えば、「9時までにはベッドに行く」というルールがある場合、時計の針の図とともに「8時にお風呂」「8時半に歯磨き」等、寝るまでのプロセスを絵にして、壁に貼っておけば、子供が主体的にルールを守る手助けになるはずです。9時前になったら寝室以外の電気を全て消してしまう、というのも良いでしょう。子供に対しては、視覚的に促すと効果的です。

③ 子供がルールを破りそうな場合、まず注意する
 いきなり「叱る」のではなく、ルールを破りそうなことに気付かせ、子供が自ら行動できるよう、まずは注意喚起をしましょう。その際、子供の目線に立って、ユーモラスに伝えてあげるのも効果的です。

【例】
「うるさいから静かにして!」→「アリさんの声で話そうね!」
「バタバタ歩かない!」→「忍者になって、忍び足で歩こう♪」
「もう寝る時間だからテレビは消しなさい!」→「テレビもねんねの時間だよ。バイバイしようね」

上の2つは、パパが見本を見せながら、伝えてあげると良いですね。

 

 

叱るときのポイント

 ルールを共有し、環境も整えてあげて、それでもルールを破りそうなときに、まずは警告として「注意する」。それでも守れない場合に、初めて「叱る」ことが必要になると思います。叱る上での重要なポイントは、以下のとおりです。

① 子供の思いを聞いて、受け入れる
 子供が叱られるような行動をした背景には、子供なりの理由や思いがあるはずです。
まずは子供の気持ちをしっかり吐き出させて、気持ちを肯定してあげたあとに、伝えるべきことを冷静に伝えましょう。

② 叱るための環境を作る
 例えば、テレビを見ている子供を叱る必要がある場合、子供は画面に集中しているので、パパの言葉はなかなか届きません。こんなときは、子供の目線に入ったり、テレビを一時停止したりして、叱るための時間と空間を意図的に作ってから伝える方が効果的です。
子供の気を散らせないよう、静かで、窓や物が少ない部屋に移動してから話す、というのも良いと思います。

③ 短く、わかりやすく伝える
 クドクド長く伝えるのは逆効果です。「なぜ叱っているのか」、「どうしたら良かったのか」、子供にわかる言葉で端的に伝えましょう。

④ 目を見て真剣に、穏やかに話す
 感情的に怒るのではなく、穏やか、かつ真剣な表情で話しましょう。

子供を叱るママのイラスト

 

0~2歳は「叱る」よりも「褒める」

 一概には言えないですが、2歳くらいまでの子の場合は、基本的に叱る必要はあまりないと思います。「危険なものは手の届かない場所に置いておく」とか、「ご飯をこぼしても大丈夫なように下にシートをひいておく」とか、叱る必要がないよう、大人が環境を整えてあげましょう。

 また、特に2歳以下の場合は「叱る」よりも「褒める」ことで、望ましい行動を促していくことが大切です。例えば、口に食べ物を入れた後にペッと吐き出してしまった場合、「ペッしちゃダメ!」と叱るのではなく、「口に入れて偉いね!」と褒めてあげて、「パパも口に入れてみよう。おいしいなあ。このまま、もぐもぐごっくんしてみよう」などと上手に促してみましょう。食卓を「怒られる場所」ではなく「楽しい場所」にしてあげる方が、子供の成長には重要です。

 

夫婦で協力して叱るためのポイント

 子育て全般に共通しますが、「叱る」についても夫婦の連携や協力が欠かせません。ママとの連携のポイントやヒントについても解説します。

① 叱る基準や叱り方について、ママとしっかりコミュニケーションを取る
 例えば、ママとは「夜、30分だけならテレビを見ていい」という約束をしていたのに、急にパパが「夜、テレビを見てはいけません!」と叱(怒)ったら、子供は混乱し、反発するでしょう。どういった場合に、どのように叱るのか、普段からママとしっかりコミュニケーションを取っておくことが重要です。

② パパとママ、それぞれの視点で伝えてみる
 ママが伝えても子供が納得しないときなどは、パパなりの視点で説明を加えてみても良いと思います。
違う視点から伝えることで、子供はより納得感を得られやすくなり、価値観や考え方の幅も広がるかもしれません。

③ パパとママで役割を変えてみる
 ママが叱って子供が落ち込んでいるときに、パパが寄り添って優しく接してあげたり、そっと抱きしめてあげたりすると、子供は安心感を得られるはずです。また、普段はママが叱り役だけど、いざというときはパパが叱る、といった役割分担も良いと思います。子供からしたら、「普段は叱らないパパが叱った」と、事の重大さを認識しやすくなります(もちろん、パパとママが逆でも構いません)。

④ ママや子供が感情的になりすぎているときは、パパが間に入る
 ママと子供が喧嘩のようになり、お互いに感情をぶつけ合っている場合などは、パパが間に入った方が良いかもしれません。この場合、どちらかに肩入れするのではなく、冷静にお互いの言い分を聞いて、受けとめることが重要です。もし子供がママを傷つけるような言い方をしていた場合は、「大事なママに対して、そんな風な言い方をしたら、パパもママも悲しいよ」と、ママの代わりに伝えてあげたら良いと思います。

 

甘えさせてあげることも大切

 「叱る」だけでなく、「甘えさせてあげる」ことの大切さにも触れておきたいと思います。子供にとって、家庭は最後のよりどころです。もし子供が、外で叱られ、家に帰ってママに叱られ、パパにも叱られてしまったら、居場所がなくなったように感じてしまいます。
家庭内でうまく甘えられていない子ほど、家庭外での問題行動が多くなるとも言われています。

 保育園や幼稚園では一人でご飯を食べられているのに、家ではパパやママの膝の上に乗ったり、「あーん」して欲しいとねだったり…といったこともあると思います。そんなときは、甘えさせてあげても良いかもしれません。まだたった数年しか生きていないのですから、ずっと頑張り続けるのは大変です。子供は3歩進んで2歩下がるを繰り返しながら、少しずつ着実に成長していきます。

「叱る」にも「子育て」にも正解はない!大切なのは「子供のことを真剣に考え続けること」

 これまで「叱る」をテーマに書いてきましたが、実際のところ、子育てに「正解」はありません。もし正解があるとしたら、「子供のことを真剣に考え続けること」だと思います。私自身も二児の父親として、日々試行錯誤しています。子供の成長と幸せのためには何かよいのか、一緒に悩みながら、子育てに取り組んでいきましょう!