僕はソウタ。小学5年生。今年から始まった家庭科の授業はとっても楽しい。ミシンを使ったり、お金の話を聞いたり、お片付けを教えてもらったり。中でも、ボクが一番好きなのは調理実習!料理って面白いし、おいしい!いつもママが作ってくれるけど、たまにはボクも料理のお手伝いがしたいなぁ。今度ママに言ってみよう。
おにいちゃん!

そんなことを考えていると、妹のリコが帰ってきた。リコは小学3年生。いつもテンションが高いなぁ。

リコどうしたの?
ママってさ、仕事もするけど、家に帰ってきても料理とか掃除とか洗濯とか、たくさんやることあるでしょ。私、もっとママと遊んだり、お喋りしたりしたい!


そうだね・・・。パパだってゴミ捨てとかやっているじゃん。
でも、ママの方がいつも大変そうなんだもん。これってどこの家もそうなの?


他の家のことは知らないけど・・・どうなんだろう?ちょっと調べてみるか!
うん!

子育て世代の家事・育児関連時間(週全体平均)
(東京都生活文化局 令和3年度男性の家事・育児参画状況実態調査より)
調べてみると、家事や買い物をしている時間は、女性が男性の倍以上。育児の時間も合わせるともっと大きな差があることがわかった。

やっぱりママの方が大変そうだね。
ほらぁ、パパももっとやればいいのに。


でも、ママの作ったご飯はおいしいし、洗濯物畳むのだって上手だし、掃除だって早いし、キレイになると思うんだよね。きっとママの方が得意なんじゃないかな。
パパがたまに作ってくれるご飯もおいしいよ。それに洗濯だって掃除だって、時間がかかるかもしれないけど、できないわけじゃないと思うの。


そりゃ、できないことはないね。時々手伝っているしね。
ねえ、おにいちゃん!パパは家事を“手伝う”ものなの??


え?なにかおかしい?
手伝うってさ、誰かがやっていることを、お手伝いするってことでしょ?


まあ、そうだね。
同じ家事なのにママは家事を“する”、パパは家事を“手伝う”って言うのはなんで?


あーなるほど。考えたこともなかったけど、確かにそれは・・・なんでなんだろう。パパにとっても家事は“する”もののはずだよね。それでも、“手伝う”っていうことは・・・
“家事はママがやるもの”だと思っているからなんじゃない?


あ!そういうことか!
だって、私パパが自分から家事をしているのを見たことないもん。いつもママに言われてからやっているよね。なんでそうなっちゃうんだろう。


うーん。もしかしたら、パパが育った時がそうだったからなのかもしれない。
どういうこと?


おばあちゃんに聞いたんだけど、昔は男の人が会社に行って仕事して、女の人が家のことをやるのが普通だったんだって。だから、パパはきっと家のことは女の人、つまりママがやるのが普通だと思っているんじゃないかな。
そっか。


やっぱり自分が育ったときのパパとママがやっていることが当たり前だと思うんじゃないかな。パパは『やれるときはやる』っていっていたよ。
パパだけじゃなくママも『やれるときだけやる』ってなっちゃったら、私達がご飯を食べられない日やお部屋が汚いままの日も増えちゃいそうだね。


ママがいつも頑張ってやってくれているってことか。
そう考えたらやっぱりパパも家事を“手伝う”じゃなくて“する”ってなるといいのにね。

どうやらボクたちはみんな、家事はママが“する”ものだと思い込んでいたみたいだ。女の人が家事をする時間が長いのも、きっとそういう思い込みからきているんだろう。パパだって得意じゃないかもしれないけど、慣れれば、楽しく、早くなって、ママみたいに家事を“する”って気持ちになれるのかもしれない。でも・・・ちょっと気になることがある。

じゃあ、どうしたらパパも自分から家事を“する”って思えるんだろう。パパは、家事は好きだって言っているし、上手くなりたいんだって。お料理をすると食べ物で季節感が感じられるし、段取りを考えるのはお仕事にも通じるらしいよ。
でも。そもそもパパは家事をする時間がないって言っていたよ。


いつも仕事から帰ってくるのが遅いしね。
そう!本当にパパの仕事忙しすぎ!!!


なんだよ、急に怒って。何かあったの?
今度、学校で学芸会があるでしょ。私、オズの魔法使いの主役をやることになったの。


よかったじゃん!
うん。だからね、パパに絶対に観に来てって言ったんだけど、その日は仕事が忙しいから会社休めないんだって。


そうなんだ…残念だったね。
…おにいちゃん!


何?どうしたの?
おにいちゃん!学芸会で会社って休めないの?

それは…よし!次はそこを調べてみよう!
(次回へ続く)