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【育業スペシャル企画】TOKYO”育業”会議
第1回 “育休”から“育業”へ 未来に向かいマインドチェンジを!

 

 東京都は、「育休」を「仕事を休む期間」ではなく「社会の宝である子供を育む期間」と考える社会のマインドチェンジに向けて、育児休業の愛称を募集し、「育業」(いくぎょう)と決定しました。
 改正育児・介護休業法の施行で、男性も育業しやすい制度が動き始めた2022年。育業スペシャル企画として、『TOKYO“育業”会議』を開催。育業を取り巻く現状や課題について、熱く語り合いました。その模様を3回にわたってレポートしていきます!

<参加者>左から(敬称略)
■羽生祥子(日経xwoman 客員研究員、著作家・メディアプロデューサー)
■山口理栄(育休後コンサルタント)
■青野慶久(サイボウズ株式会社 代表取締役社長)
■黒田高史(会社員 4児の父 3度の育業取得経験あり 12月に5人目誕生予定)
■小原功嗣(会社員 2児の父 現在2度目、1年1ヶ月の育業中)
※ファシリーテーター 杉山錠士(子育て情報サイト「パパしるべ」編集長)

「育業」に込められた想い 言葉で一歩が踏み出しやすくなる

―(杉山)「育児休業」が「育業」という愛称になりました。青野さんは選考委員として、どんなことをポイントとして考えましたか?

青野
 僕はもともと「育業」推しだったんですが、一つは「休む」というイメージを何とかしたかった。どう考えても休みじゃない。仕事より大変なんだ!というところを表現したかったです。もう一つは「業(ぎょう)」という字。「学業」という字でも使いますが、「学びの場」とか「学びながら、自分を高めていく」というようなニュアンスがあるんで、「育業」っていいなって思いました。

 

― 現役パパのお二人はいかがですか?

小原
 「育業」という言葉がとても好きです。あくまでも言葉はきっかけだと思うんですが、ちょっとしたニュアンスの違いで、一歩が踏み出しやすくなる。「どうせ言葉だけだろう」という批判もあるかもしれません。されど、その言葉がとても大事だなと。だから私は「育業」をどんどん広めたい。でも「育休」って言い慣れすぎていて、思わず「育休」って言っちゃうことが多いです(笑)

黒田
 実は私も上司に「12月に5人目が生まれるので育業します」と伝えたかったんですが、「育業」と言ってもわからないと思ったので、「育児休業します」と言いました。やっぱりどれだけ浸透していくかが重要なのかなと思います。

― 女性の場合、出産後に体を休めなければいけないということもあるため、「産休」・「育休」の「休む」という文字にあまり違和感がないようにも感じませんか?

青野
 子供3人の出産に立会いましたけど、どう考えても休みではない、反対ですよね。むしろ“生き死に”の現場ですから。出産に限ったことではないですが、日本って何か「型」があるように感じるんです。赤ちゃんはお腹を痛めて産むものという考えも根強いですし、男女の役割分担もそうだし、この「型」じゃなきゃいけないと囚われているように感じます。そして、そうじゃないものはなかなか認められにくい。

羽生
 私は「育業」という言葉に、おっしゃっているような「型」を感じるところがあります。女性の「産休」「育休」に対しては特に抵抗がないけど、男性の場合、会社で働く役割があるから、「休む」じゃなくて、業務の「業」をつければ、仕事の一環のように感じて、上司も承認しやすいんですかね。そういう「型」がないとOKって言えないんだなあっていうのは、改めて感じました。

山口
 私は結果として「育業」に決まったこともいいと思うんだけど、そのプロセスが大切だと思います。なぜ「育休」じゃ駄目なのということから始まって、どういう名前だったらいいんだろうって、みんなで話し合った。そのプロセスが話題になること自体、良かったと思います。

「育業」が広がっていくために

― どうしたら「育業」がもっと世の中に広がっていくのでしょうか?

青野
 男性の育児休業取得率は、僕が初めて取った12年前(2010年)から比べるとグッと上がってきている。これの延長でいけば、もうブレイクするのは間違いない。

― でも2021年は、(前年の12.65%から)13.97%と、大きくは伸びなかったですね。

山口
 この13.97%は、法改正前の数字ですから、ここからが期待できると思いますよ。

青野
 次はこの流れを維持できるかどうかですよね。すでに育児休業の取得推進をやり始めている企業だけが前に進んで、動いていない企業がついてこないという悪いシナリオになってしまうと、育児休業取得率が20%ぐらいで止まってしまう可能性もあります。残りの80%ぐらいを何とか動かしていかなきゃいけない。

山口
 マイナビ(就活情報サイト)が就活生に行っている調査では、男性就活生の6割が育児休業を取りたいと答えているんですよ。これを見ると私は楽観していいかなと感じます。次の世代はもう当たり前になるんじゃないかと。ただ、今は勇気が出ない人がいるのも確かなので、ポジティブな事例を発信することが大事。私もなるべくFacebookで、この自治体の育児休業取得率が何%になりましたとか、どんどん広めています。みんながそういう意識を持って、良い事例を広め、「この会社もこの業種も増えているから、うちも変わらなきゃ」と、意識が変わることを促進するのは大事かなと思うんですね。今回、東京都が育児休業をテーマに名前の募集をしたのはすごく良いこと。そういった活動が広がるといいなと思います。

羽生
 もう一押しがあるとすれば、やっぱり企業が本腰を入れること。これまでは育業に前向きじゃない60代とか70代ぐらいの方の反応を危惧して、いろいろな方向からストップがかかっていました。でもそこが非財務情報として、社員に関するすべての情報を開示せよ、となった時に、育業も推進出来ない企業はもう投資先として選ばれませんよ、ということなる。企業もやらざるを得ないわけですよね。投資家やユーザーなどからの“外圧”が増えていることも、力強いきっかけになるかなと感じます。

黒田
 一定の企業では変わってきているんでしょうけど、取り残されている企業、ここに何とかメスを入れていく必要があるなと思います。私も、育休取得をすごく言い出しにくかった。それは、自分の役職が上がってきて管理などを考えるようになったことも一つの要因です。自分の代わりのリソースをどこで埋め合わせよう、どうやって利益を上げていこうって考えたとき、しんどいなと思うんですよね。会社全体として、人的リソースを補完できる組織を作っておかないと、「育業します」と社員は言いにくい。会社として常に余裕を持たせた組織作りをしていかないと。ただやっぱり中小企業は厳しいですね。

小原
 私も、大企業を中心に進んでいる企業が増えている中、取り残されている企業はまだまだ多いなと感じます。いろんな企業規模の方々に育業の認知度と理解度をヒアリングしてみると、「聞いたことがある」レベルで、認知はされていても、理解はされていないなと感じる。特に中小企業の方は「うちは絶対に無理だから」と反応が返ってきました。これは何人も聞いたけど、全員同じ答えだった。本当に会社の規模によっても違いますよね。

山口
 でも、育業するのが女性だったらどうですかね。「それはもう仕方ない」ってなりませんか?本当は男性も「仕方ない」はずなんです。そこの意識の壁はまだありますよね。男性と女性を同じように見ていない。いろいろな事情はあると思いますが、どうしたら対応出来るかを真剣に考える前に「無理」と言っている気がするんです。「ダメと思ったけど、こういう風にやってみたらできました」というような、ノウハウの共有が必要かもしれませんね。

 

<次回へ続く>

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