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子育てマンガ「仕上げ磨きはパパに任せて」
プロフィール
エイイチ
東京のデザイン会社に勤めた後、フリーランスのイラストレーターに。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭インターナショナル・ショートフィルム・ショウケース部門優秀アニメ賞を受賞するなど、アニメ、漫画、イラストの制作で頑張るパパ。
わが子の歯はパパママで守る!虫歯予防は3歳までがカギ
子供の歯のケアの大切さはわかっているものの、ケアするポイントがよくわからなかったり、子供が歯磨きを嫌がり悪戦苦闘したりしているパパママも多いのではないでしょうか?
今回は、
子供のデンタルケアについてお届けします!
子供の歯を守るための日常的なケアや予防歯科について、4児の父であり、小児歯科専門医の坂部潤先生にお話を伺いました。年齢別ケアのポイントや、子供が歯磨きを嫌がる時の対処法についても解説します。
虫歯になりにくい口腔内環境は3歳までに決まる!
虫歯は、子供の頃からの生活習慣が原因となる「生活習慣病」のような側面と、虫歯菌による「感染症」の2つの側面があります。虫歯菌は赤ちゃんの時に親からうつりますが、どんなに注意していても結局は、どこかで菌が入ってしまうので、うつることをあまり気にしすぎる必要はありません。それよりも、虫歯菌が増えないように気を付けてあげることが大切です。お口の中に、虫歯菌のような悪玉菌が多いのか、何も悪さをしない善玉菌が多いのか、その勢力バランスは、だいたい3歳ぐらいまでに決まるといわれています。3歳までの間に、虫歯菌が増殖するのを防いで、虫歯になりにくい口腔内環境を保ってあげられれば、子供が大きくなってからも虫歯になるリスクを減らすことができるのです。
子供の歯を守る!年齢別ケアのコツと注意点
乳歯や生えたての永久歯は、成人の大人の歯よりも弱く、虫歯になりやすいため、完全に永久歯が生え揃うまで日常的なケアが大切です。
【生後6ヶ月頃】歯磨きデビューは、歯ブラシに慣れることから
生後6ヶ月頃になって下の前歯が生え始めたら、ブラシ状のもので朝と夜の1日2回、歯磨きを始めましょう。下の前歯は唾液が多く流れるところなのであまり汚れがたまりませんが、この時期の歯磨きはお口の中に異物を入れる感覚に慣れてもらう「訓練的な側面」があります。乳児用に柔らかく安全に作られたシリコン製の歯ブラシなどを活用して、歯ブラシが入ってくる感触やお口の周りを触られる感覚に少しずつ慣れてもらいましょう。
【1歳~2歳頃】歯磨きイヤイヤ期は、夫婦の協力が大切
1歳から2歳頃に訪れるイヤイヤ期。毎日の歯磨きに苦労するパパママも多いです。1歳半を過ぎると奥歯も生えて、“虫歯多発時期”になるため、この時期に子供が嫌がるからといって歯磨きをやらないでいるのはとても危険です。嫌がる場合は、ママにあやしてもらったり、パパに子供の手足を軽く押さえてもらったりするなど夫婦の協力が大切になります。また、普段からパパとママが楽しそうに歯磨きをしている様子を見せることも、子供の中でいいイメージに繋がりやすくなります。
【3歳~8歳頃】「本人磨き」+親が「仕上げ磨き」
乳歯が生え揃う3歳頃からは、朝と昼に「本人磨き」を行い、夜は必ず親が「仕上げ磨き」をしましょう。小学生になると仕上げ磨きをやめてしまう家庭が多いですが、小学校低学年頃というのは、歯が生え変わる“虫歯多発時期”です。また、6歳臼歯と呼ばれる奥歯は半年くらいかけて生えるため、生えてくる途中で虫歯になってしまうこともよくあります。この時期に「仕上げ磨き」をやめてしまうことは虫歯になるリスクが非常に高くなるので、8歳頃までは親が「仕上げ磨き」をしてあげましょう。歯医者さんに「本人磨き」がしっかりできているかチェックしてもらい、プロのお墨付きをもらったうえで、「仕上げ磨き」を“卒業”するのが理想的です。
歯科医師から見た卒乳とおしゃぶり卒業のベストタイミング
1歳半を過ぎると奥歯が生えて汚れがたまりやすくなり、母乳による虫歯のリスクがグンと高まります。このため、予防歯科の観点からは1歳半までの卒乳をおすすめしています。ただ、難しいようなら無理にやめなくても大丈夫です。授乳を続ける場合は、歯磨きや甘いもののコントロールなどで予防を心がけてください。
おしゃぶりは長時間・長期間に渡って続けていると、歯並びや嚙み合わせに影響します。特に3歳を過ぎると骨がだんだん固くなり、歯が生え替わっても悪い影響が残ることが多いので、おしゃぶりは3歳までに卒業することを目標にしましょう。
「仕上げ磨き」で子供の歯を守ろう!正しいやり方をチェック
「仕上げ磨き」は、子供の「本人磨き」による磨き残しを点検し、汚れをしっかり落とすことで虫歯を防ぐ大切なケアです。ポイントを押さえて、毎日欠かさずに大人がきちんと磨いてあげましょう。
①子供を膝の上に仰向けに寝かせる
子供を寝かせたら歯ブラシを“鉛筆持ち”して、反対側の手の人差し指でほっぺを広げ、お口の中がよく見える状態をキープしながら磨いていきます。この時、子供が嫌がってバタバタする場合は、大人の足で子供の手足を軽く押さえます。
②磨き方は、磨き忘れを防いでまんべんなく磨ける「順番磨き」
磨きやすいところから磨いていくと、どうしても磨き忘れが出てしまうので、「順番磨き」をしましょう。まず、上の歯の外側を1周してから内側を1周し、奥歯の嚙む面(咬合面)を磨きます。その後、下の歯も同様に外側と内側を磨いたのち、奥歯を磨きます。
このように磨く順番を決めておけば効率もよくなり、丁寧に磨いても3分以内に終わるはずです。
③歯ブラシの動かし方は、一番確実な「スクラビング法」
歯に対して毛先を直角に当て、横方向に動かしていくのが「スクラビング法」です。歯茎への刺激も少なく、一番確実に磨ける方法とされています。歯1~2本につき10回くらいずつブラッシングして、小刻みにシャカシャカと動かしていくのがポイントです。汚れやすい歯と歯の間は、毛先が入るくらいの軽い力でしっかり磨いてあげましょう。
④磨き残しやすいポイントは特に丁寧に
下の奥歯の内側と、上の奥歯の外側、奥歯の奥などは磨き残しやすいところです。また、上の前歯2本の間には「上唇小帯」という筋があります。ここに歯ブラシが当たってしまうと痛いため、子供が歯磨きを嫌がる原因になります。歯ブラシが上唇小帯に当たらないよう指でガードしながら丁寧に磨きましょう。
甘いものは頻度を控える!食生活で気を付けたいポイント
子供が虫歯になるのは、歯磨きが十分でないか、甘いものを摂る回数が多いためです。甘いものをコントロールできる規則正しい食生活を、子供のうちから身に付けさせておくことが大切です。お口の中に甘いものがある回数と時間が増えると、虫歯率が上がります。例えば、10gの砂糖を1回で摂るのと、1gずつ10回に分けて摂るのとでは、後者の方が虫歯の危険度が高くなります。例えば、「甘いものは1日2回まで」と決めて、だらだら食べさせないようにしましょう。どうしても欲しがる場合は、虫歯菌を減らす効果があるキシリトール配合のお菓子でコントロールするのがおすすめです。
「歯医者さんが怖い!」をなくすには?
子供が虫歯になってから初めて歯医者にかかると、「歯医者さんって楽しい」と思ってもらうのはほぼ不可能です。歯医者に対して「怖い」「痛い」というネガティブなイメージを持ってしまい、歯医者に行くのを嫌がるようになってしまいます。逆に何も問題がない時に来て、歯のお掃除をして頑張ったご褒美をもらう「成功体験」をしておけば、子供が歯医者に対してネガティブなイメージをもつことは、ほぼありません。子供が小さいうちにかかりつけの歯医者さんを見つけ、「問題がなくても行く」という行為は予防歯科そのものです。きちんと歯磨きができているかチェックしてもらい、プロのアドバイスを聞いて、おうちでのケアの質を高めることができます。また、子供の歯並びや嚙み合わせは日々変化しているので、3ヶ月に1回程度定期検診をすれば、そもそも問題自体が起きにくくなり、虫歯になってしまった場合でも早期発見・早期治療に繋がります。
パパとママの愛情が伝わるデンタルケア
私の歯科医院では、働き方の変化などで最近は週末だけでなく平日もパパの姿が多くなりました。パパが子供のデンタルケアに積極的に参加することは、子供の成長を十分に感じられ、夫婦間のコミュニケーションもアップするなどたくさんのメリットがあります。また、パパとママに歯のケアをしてもらっているという愛情は、子供に確実に伝わります。毎日の歯のケアをしっかりして、生え揃う時期や生え変わる時期の“虫歯多発時期”に特に気を付けてあげれば、あまり神経質になる必要はありません。私自身も4児の父ですが、子供の歯のケアについては、心配しすぎて本人たちのストレスにならないように意識していました。正しい知識と技術を身に付け、夫婦で協力し合って大事な子供の歯を守ってあげてください。