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男性も女性も気兼ねなく育休取得できる企業文化を
株式会社日本カストディ銀行

 日本カストディ銀行は、銀行や投資信託会社等を顧客として、有価証券の保管や管理事務を行う資産管理専門銀行です。同社では男性社員の育児休業取得促進に取り組み、取得率は2020年度の25%から2021年度の66.7%へと大きく向上しました。その具体的な取組について伺いました。

日本カストディ銀行人事総務部の3名の写真

人事総務部部長: 市川 英三郎さん(写真右)
人事総務部D&I 推進担当部長: 小籠 紀子さん(写真中央)
人事総務部D&I 推進室: 管 紀子さん(写真左)

育休取得推進は「SDGs」の取組の一つ

 

 当社はSDGsの達成を重要な経営課題として捉え、SDGsへの取組を強化しています。また、金融インフラという社会的責任を果たす使命があり、事業活動そのものが持続可能性の追求という大きな枠組みの中にあります。育休取得の推進もSDGsの取組の一つという位置づけで、「働きやすい職場を提供することで、社員に長く勤め続けてもらいたい」という思いから出発しています。

 当社は女性と男性の社員比率が7:3で、女性が多い職場ということもあり、女性の育休取得を積極的に推進してきました。女性の育休の取得率は早期に100%となったのですが、男性の取得はなかなか進みませんでした。その理由としては、育休は「女性のための制度」という意識や、男性が取得しにくい職場の雰囲気などが考えられました。そこで、人事総務部では「男性女性問わず、育休は社員にとって当然の権利である」という意識改革から始めました。

男性の育休取得推進に向けた雰囲気づくりは“上司の意識改革”から

 意識改革のための取組として、特に力を入れているものが4つあります。
  1つ目は「上司の意識改革」です。管理職を対象とした社内研修の他、「妊娠・出産報告を受けた際の意向確認シート」を作成し、部下への対応をチェックリストにして渡すなどしています。
 例えば「部下から妊娠出産の報告があったとき、第一声として「『おめでとう」と声をかけましょう」という項目があります。本来は基本的なことですが、上司は業務管理が先に立って「いつから休むの?」「業務の引き継ぎをしないとね」と、つい言ってしまうことがあるのです。「おめでとう」と言ってもらえなかった部下は、妊娠出産を歓迎されていないのかもしれないと不安を感じ、休業希望を言い出しにくくなってしまいます。
 上司から部下に「育休の制度を使うといいよ」と促すような声掛けができれば、部下は気兼ねなく制度を利用できますし、そのやり取りを聞いている周りの社員も「男性も育休を取っていいんだ」と思うでしょう。それが職場の雰囲気づくりとなるのです。

 

妊娠出産報告を受けた際の意向確認シート

 

制度利用者の声を全社で共有

 2つ目に「社内報の活用」があります。2021年には、育休を取得した男性社員とその上司との意見交換会を人事総務部で主催し、取得社員のリアルな声を社内に発信しました。育休を経験した男性社員からは「妻の大変さが分かった」「子供をさらに可愛く感じた」といったポジティブな意見が多く聞かれました。
 「育休を取得して良かった」という実際の声を職場にフィードバックしていくことで、男性の育休を前向きに捉える意識が広がり、取得率向上に弾みがついたと考えています。

社内報

社内報で発信

仕事と育児の両立に役立つ情報満載!ガイドブックで不安の軽減を

 3つ目として、2022年10月に『仕事と育児との両立支援ガイドブック』を作成しました。「妊娠」「出産」「育児」「復職」の各ライフイベントに応じた支援制度や留意点などの情報をまとめた冊子です。
 制度周知だけでなく、育休開始から復職までの心構えや保育園入園に向けた準備など、先輩ママ・パパ社員の知恵やノウハウがちりばめられていて、社員からは「参考になる」「長期で休むことや復職への不安が減った」と好評です。例えば、復職後の働き方を考えるワークシートや、仕事と育児の両立のために配偶者と話し合う項目などのページがあります。特に評判がいいのは「パパ社員・ママ社員のタイムスケジュール」。子どもが生まれると1日を通してどんな生活になるのかイメージ出来るので、夫婦の役割分担や生活設計などを考えるのに役立ちます。仕事と育児との両立支援ガイドブック

『仕事と育児との両立支援ガイドブック』

育児休業の取得促進にもつながる「育休プラス休暇」を創設

 4つ目として、当社独自の出産育児支援制度「育休プラス休暇」が2022年10月よりスタートしました。

<育休プラス休暇とは>
育児休業を取得した社員を対象に5日以内の特別休暇を取得できる制度
・育休プラス休暇の期間は100%の給与を支給
・育児休業後2か月以内で育児の必要があるとき
・分割取得可、育児休業との連続取得可

 

 少しでも長く育児休業をとってもらい、子育てを頑張ってもらいたいという福利厚生の一環です。子供の1歳半健診時に利用する女性社員や、妻の健診時に男性社員が育児をするために取得されることを期待しています。

 

人事総務部管さんと小籠さんの写真

「社員を大事にする」企業戦略の基本を追求

 こうした取組によって、男性社員の中にも「育休を利用するのが当たり前」という意識が浸透してきた手応えを感じています。今後は取組の効果測定をして、更なる改善を図ることと、復職のためのフォローアップに力を入れていきたいと考えています。
 男性の育休取得率100%は目標ではありますが、強要ではありません。権利を使うのも使わないのも本人の自由です。大事なのは取得率を100%にすることではなく、制度を使いたい人が気兼ねなく使える企業文化をつくること。男性も女性もいきいきと働ける社会文化を根付かせることで、社員の働きがい生きがいが生まれ、長くこの会社で働いてもらうことができます。
 会社は人的資本がなくては成り立ちません。「社員を大事にする」というのは企業戦略の基本です。今後も社員を大切にするために何ができるのか、追求していきます。