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第5回「おにいちゃん!ママが仕事をするのって何が難しいの??」
「パパは家事を「手伝う」ものなの?ソウタくんの答え探し」

僕はソウタ。小学5年生。10歳になって自分の将来を考えはじめたら、なんだか世の中にはボクにはわからないことがいっぱいあるみたいだ。この間も妹のリコから聞かれてボクにはうまく答えられなかったことがある。

おにいちゃん!ママが仕事をするのって何が難しいの??

リコのイラスト
ソウタのイラスト

「難しい」か・・・どういう意味だろう?

うーん・・・簡単じゃないってことじゃない?

リコのイラスト
ソウタのイラスト

それは、わかってるよ(笑)

仕事が難しいのかな?それとも家のことが難しいのかな?

リコのイラスト
ソウタのイラスト

どっちなのかなぁ?全然わからないから調べてみよう!

学校から配られたタブレットを使って調べてみると、もう10年くらい前から日本では「女性活躍が必要」と言われているらしい。それからだいぶ経っているのに難しいっていう理由は・・・。そんな時、女性活躍をテーマにいろいろなところで講演をしている日経xwoman客員研究員、羽生祥子さんという人を見つけた。この人ならきっと「難しい」という理由を知っているかもしれない!よし聞いてみよう!!

羽生祥子(はぶさちこ)さんの写真

羽生祥子(はぶ・さちこ)さん
(写真:©Akiko Suzuki)

ソウタのイラスト

ボクの友達の家もほとんどがママも働いているみたいですけど、今は働いているママの方が多いんですか?

うん。今から20年前の2000年くらいまでは、家事や育児に専念する専業主婦と、共働きで働いているママの数が同じくらいだったんだけど、それ以降は働いているママの方が多くなった。

 

今は全国の夫婦のうち、二人とも働いている共働き家庭が約7割というデータもあるの。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

そんなに多いんですか!

正社員だけじゃなくてパートタイムのお仕事も含んでいるから働き方はいろいろだけど、今の小学生や中学生の子どもがいる家庭のママの多くが、働いていることになるね。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

ボクのママは働くのは「難しい」って言っていたんですけど、それはやっぱり「大変」ってことなんですか?

確かに「大変」というところもあるんだけど、ちょっと違うかもしれない。
日本で働いている正社員のママが仕事を辞めてしまう理由で一番多いものはなんだと思う?

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

え、それはやっぱり仕事と家のことで忙しくて大変だからじゃないですか?

それが・・・一番多いのは「仕事がつまらないから」
しかもそれが育児などで忙しいという理由より多いの。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

えーー!!そういう理由なんですか??

調査の結果を見て、私もおどろいたの。もちろん仕事と家庭の両立は時間的にも大変だし、とっても疲れること。だけど、大変でもやりがいがあることや、頑張りたいことだったら、辞めようとは思わない。

 

例えばソウタくんが鉄棒やなわとび、跳び箱とかを練習するのは大変だと思うけど、練習してできるようになったら達成してうれしいこともあるし、頑張れると思わない?

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

確かにそうかもしれない。

じゃあ、跳び箱で5段飛びができるようになったのに、ずっと3段飛びだけをしてって言われたらどう思う?

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

それは・・・イヤだなぁ。

仕事で自分の力を発揮して人の役に立っていると感じたり、もっと成長したいというやる気を持っていたりしても、なかなかそういう仕事をする機会がないと、つまらないと感じて辞めてしまうことがある。これってもったいないよね。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

本当に。でもなんでそういう仕事ができないんですか?

まず、昔は子どもを産んだタイミングで仕事を辞める人が多かったから、会社としては重要な仕事を任せられなかったんだけど、日本の会社は子どもを産んだ人が仕事に戻る仕組みがどんどん整ってきて、辞める人は少なくなった。なのに、女性に重要な仕事を任せられないというイメージはなかなか変わらない。

羽生祥子さんの写真

それに加えて、ソウタくんも言っていたけど、仕事と子育ての両立は大変でしょ!と考える人がたくさんいて、だったらなるべく大変じゃない仕事をお願いしようとなってしまう。そうなるとやりがいのある仕事が任されないという現状もある。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

うーん、なるほど、会社が良かれと思ってしていることが、かえってママを難しいという気持ちにさせていることもあるんですね。

 

ママも、子育ても仕事も頑張りたいと思っているのに、思ったように仕事が出来なくって、それが「難しい」という気持ちになっていたかもしれないんだ…。

ソウタのイラスト

それってどうにかならないんですか?

もちろん、変えていこうという動きはある。

 

会社には管理職といって、学校でいうと学級委員みたいにみんなをまとめる役割の人がいるんだけど、今の日本は、10人に1人くらいしかその立場に女性がいない。

 

でも、以前から10人に3人までなんとか増やそうとしているわ。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

10人に3人・・・それでも少なくないですか?

うん、少ないよね。10人に1人って、どんな感じかといえば、学芸会でやる劇をみんなで決めようと思って教室に入ったら、ソウタくん以外のメンバーはみんな女子で、9人もいた。その女子たちで、すでに「こんな劇がしたいよね~」と話がある程度まとまっていたとしたら、男子1人で「ボクは違う劇がやりたい」って言える?

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

いや、1人じゃちょっと無理ですね(苦笑)

でも、そこにソウタくん以外に男子があと2人いたら?

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

他の男子と話して、3人で提案できるかも・・・。

そう、それと同じ!まず人数が増えることが大事なの。

 

それに、最近は会社がいろいろなことに対応出来るようになるために多様性が必要、つまり性別や年齢、国籍とかいろいろと違う人が関わった方がいいという考えもあるから、今までは女性が少なかったところにもっと女性を増やそうと考える人が増えている。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

多様性・・・会社にいろいろな人がいるとどんないいことがあるんですか?

カードゲームを想像してみて欲しいんだけど、自分が持っているカードが全部、力はあるけど魔法に弱い戦士のカードだけだったとしたら、力が必要な時には強いけど、魔法が必要な時にはどうにもならないでしょ?戦士だけじゃなく、魔法使いや忍者も持っていたらいろいろな相手に勝てるかもしれない。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

なるほど!

ただ、いろんなカードを使いこなすのはとても難しいことだから、今はまだ多くの会社が練習中の状態。これまでは1種類のカードしか使ってこなかったからね。これから会社が、女性の力や、国籍の違う人の力などを上手に使えるようになっていくと変わっていくんじゃないかな

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

じゃあ、会社が変わればいいんですね!

それに加えて、ママ自身も変わる必要があるとは思う。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

それは、ママだけが家事や育児をするべきという思い込みですか?

よく知ってるね!もちろんその思い込みを手放して、家事や育児を1人でやろうとせずに、例えばパパにちゃんと任せることも必要。でも、それだけじゃない。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

ええ!それだけじゃないんですか?

仕事やお給料の面でも自分が任される覚悟をすることも大切。パパが家事に対して“ママ中心ですること”と思っているのと同じように、ママは仕事やお給料に対して“パパ中心で頑張ること”と心のどこかで考えている場合が結構あるんじゃないかと思う。そこは覚悟をしないといけないよね。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

うーん、そうかぁ。そうすればママもパパも仕事も家のことも思いっきりできるってことですね。

それって素敵だよね。そのときに大事なのは、ママもパパも仕事も家事も両方とも今まで以上に頑張っちゃう場合があるから気を付けないとね!

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

どうやって気を付ければいいんですか?

やっぱり無理をすると、体も心も追いつかなくなってしまうことも考えられるから、しっかり休んでケアすることは大切だよね。ママもパパも倒れたら困るでしょ?

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

それは困ります。

じゃあ、ママもパパも休めるようにサポートしてあげてね。

羽生祥子さんの写真
ソウタのイラスト

わかりました!

その日の夜、ボクはママの肩をマッサージした。思ったよりもカチカチでいつも大変なんだなと思った。そして寝る前に羽生さんから聞いた話をリコにしたんだけど・・・なんだか難しい顔をしている。

うーん・・・。

リコのイラスト
ソウタのイラスト

ちょっと難しかったかな?

よくわからないけど・・・なんかみんな頑張ってるような気がする。

リコのイラスト
ソウタのイラスト

うん。パパもママも会社も、もっと良くなろうと努力しているんだと思う。

じゃあ、なんでパパもママも大変そうなままなの?

リコのイラスト
ソウタのイラスト

なんだろう・・。“社会のくうき”っていうのかな、みんながパパとママが同じように働けて、家事や育児を分け合うのが当たり前だって思うようになるには時間がかるんじゃないかな。

でも、それじゃあ、私たちが大きくなるまでパパもママも大変なまんまってことじゃない。それでいいのかな?

リコのイラスト

おにいちゃん!

リコのイラスト
ソウタのイラスト

なに??

おにいちゃん!“社会のくうき”はどうやったら変わるの?

リコのイラスト

確かに、やっぱりそこが変わらないといけないのかもしれない、でもどうやって?いろんな人が教えてくれたことを思い出して考えてみよう!

<協力してくれた人 羽生祥子さん 日経xwoman客員研究員>

2007年 京都大学農学部入学、総合人間学部卒業(文芸論主専攻、認知科学論副専攻)。2000年に卒業するも就職氷河期の波を受け渡仏。帰国後に無職、フリーランス、ベンチャー、契約社員、業務委託など多様な働き方を経験しながらサバイバル。2002年編集工学研究所に入社し松岡正剛に師事。「千夜千冊」「情報の歴史」に関わる。05年日経ホーム出版社(当時)入社。12年「日経マネー」副編集長。13年「日経DUAL(当時)」を創刊し編集長。18年「日経xwoman」を創刊し総編集長。20年「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」始動。内閣府少子化対策大綱検討会、厚生労働省イクメンプロジェクト、東京都子ども子育て会議等委員を歴任し、働く女性や共働き家族の声を発信している。大学講師、企業セミナー、TV等出演多数。プライベートでは2児の母。趣味はピアノ、料理、水泳、金融の勉強。目下、グローバルの中で薄れつつある「日本の個性」に着目。2022年 株式会社羽生プロ代表取締役社長。

(次回へ続く)