「実は私自身、家事を全然やらずに大人になり、一人暮らしや結婚をした時に家事ができなくて本当に困りました」と話すのは、家事プロデューサーの本間朝子さん。仕事と家事の両立で苦しんだ経験から、時間と無駄な労力を省く家事のやり方を考えるようになったといいます。
今回は、「時短家事」のエキスパートでもある本間さんに、一人暮らしを始めた若者や社会人1年生の家事初心者に向けて「時短家事」のコツを伝授していただきます!
時短家事のコツ【掃除編】
掃除道具は、手を伸ばせば届く場所に
掃除道具は、部屋の隅に隠したりしまい込んだりせず、すぐに手が届く各部屋の「一等地」に置きましょう。手を伸ばせば届く範囲に置くことで無駄な移動が省け、「ながら掃除」や「ついで掃除」が習慣化しやすくなります。棚の一番上の引き出しにハンディモップを入れておけば、スマホで話をしながら片手でモップを取り出して気軽にホコリが取れます。
「掃除時間」は作らず、生活の中に組み込む
忙しいと、わざわざ「掃除時間」をつくるのが難しいので、日々の生活の中に掃除を組み込んでしまいましょう。
例えば、洗顔後は顔を拭いたタオルで鏡や洗面台を拭いたり、お風呂に入ったついでに風呂の汚れを落としたり、朝は寝室に設置したフロアワイパーを手に、洗面所やリビングへ移動しながら床掃除したりと、生活動線に掃除を組み込めば、習慣化しやすくなります。
また、持ち手が付いたコロコロシートは、壁や冷蔵庫、洗濯機の隙間などにフックをつけて吊るしておけば、忙しい時間の合間に掃除ができます。
カビを制する者が風呂掃除を制す
カビは50度以上の熱で繁殖力が低下するため、お風呂のカビ予防には50度以上のお湯をゆっくりかけると効果的です。人のアカもカビの栄養となります。シャワーを浴びる時は、立つより座ることで、汚れる壁の範囲を抑えられます。
浴室の換気もカビ予防に有効です。風呂後に換気扇を使うときは、窓は閉めて、浴室入り口の扉に通気口がある場合は扉を閉めて、無い場合には扉を5cmほど開け、空気を循環させましょう。通気口に溜まったホコリは取り除いておきましょう。100円ショップなどで売っている急須やティーポットなどの細い注ぎ口を洗う「注ぎ口洗いブラシ」を使うと効率よく掃除できます。
時短家事のコツ【片付け編】
帰宅後5分は“魔の時間” 予防片付けでキレイを持続
帰宅後の5分間は、部屋が散らかる“魔の時間”です。かばん、鍵、郵便物などを「とりあえず」置いてしまうと、そこから散らかり始めてしまいます。帰宅後の動線に、それぞれ必要な収納を設置して、歩きながら収納してしまえば、散らかり防止に。「鍵は玄関の靴箱の扉のフックにかける」「カバン置きの近くにハサミとゴミ箱を置き、郵便物を開封して不要な紙はその場で処分する」という一連の動きでキレイが持続します。
「フック」を活用する
床にモノを置かないために、フックをフル活用しましょう。玄関のドアにつけてコートをかけたり、クローゼットの扉の裏側につければ、パジャマやメガネ、アクセサリーをかけたりするのに便利です。
時短家事のコツ【洗濯編】
「洗う」「干す」「しまう」は洗濯機まわりで完結
洗濯は、家事の中でも作業の動線が長くなりがちです。できるだけ「洗う」「干す」「しまう」場所を集約しましょう。洗濯機を軸に、洗剤やハンガーをすぐに取れる場所に置けば、移動せずに作業できます。洗濯乾燥機の導入予定が無ければ、洗濯機の上に突っ張り棒などで干すコーナーを設置しましょう。衣類をハンガーに干して換気扇や除湿器を回せば、その場で乾燥できます。さらに、下着やパジャマの収納ケースを近くに置けば、作業が洗濯機周辺で完結します。
専用ネット使用でシャツのアイロンがけは不要
シャツのシワや型崩れを防ぐ専用洗濯ネットを使えば、アイロンがけをする時間や手間が省けます。また、おしゃれ着は、それほど繊細なものでなければ、洗濯ネットを2重にして「普通洗い」でも大丈夫。乾燥に時間がかかり収納もかさばるバスタオルは、思い切って使うのをやめ、フェイスタオル1~2枚で代用してみましょう。
時短家事のコツ【料理編】
炊飯器とトースターを駆使して簡単レシピ
炊飯器は時短料理に重宝します。ご飯を炊く時に、ホイルに包んだ卵や根菜などの食材を一緒に入れて調理したり、炊飯器で簡単に煮物を作ったりすることもできます。トースターをパンを焼くだけでなく料理にも活用すれば、さらに料理の幅も広がります。フライパンなどの調理器具を使わずにできる鮭などの魚を使ったホイル焼きをメインディッシュに、電子レンジで作るナムルなど簡単な副菜を常備しておけば、簡単に美味しい食事が楽しめます。
サッと取り出せる「朝食セット」が便利
冷蔵庫に「朝ごはんセット」をケースにまとめておくと便利です。朝食にパンを食べる人はジャムやハム、和食なら納豆や漬物をケースにまとめて冷蔵庫に入れて置けば、忙しい朝もケースごとテーブルに出して、サクッと朝食がとれます。
洗い物の手間を最小限に抑える時短テクニック
包丁とまな板を使わず、キッチンバサミを活用するのもおすすめです。特に、包丁では皮が切りにくい鶏肉、まな板に匂いがついて落とすのが大変なキムチなどは、キッチンバサミで切ると、片付けもラクになります。レンジでも使える蓋つきのガラス容器があれば、レンジで調理してそのまま食卓に出し、残ったら冷蔵庫で保存と、調理から保存まで一つの容器ですむので、洗い物が減らせます。
カレーは、作るときに具材と一緒に粉寒天を入れて煮ると、冷めたときに固まって鍋や皿からスルッとはがれて洗い物がラクです。
食洗器も時短には効果的です。最近は、工事不要で置き場所も取らないコンパクトな機種もあるので、チェックしてみると良いでしょう。
これからは、「家事ができる人」が「家族を助ける人」だと思います。男性も女性も効率的な家事ノウハウを身に付け、仕事と家事を無理なく両立できるようになれば、将来的にパートナーと暮らす時にも役立ち、家族の幸せにつながっていくと思います。
本間朝子/知的家事プロデューサー
フードプランニング会社のチーフディレクターを経て独立。自分自身が仕事と家事の両立に苦労した経験から、時間と無駄な労力を省く家事メソッド「知的家事」を考案。「時間がない」「家事が大変」と嘆く多くの人たちの悩みを解決している。NHK「あさイチ」や日本テレビ「ヒルナンデス! 」などのテレビ、「クロワッサン」「レタスクラブ」「ESSE」などの雑誌に出演。著書は『写真で分かる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり』(青春出版社)、『ムダ家事が消える生活』(サンクチュアリ出版)、『ゼロ家事』(大和書房)など全12冊。近著に『60歳からの疲れない家事』(青春出版社)がある。