ご存じですか?育児休業中の経済的支援
育児休業を取得するにあたり、気になるのは、お金のこと。収入が減って家計が厳しくなる…と心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、育児休業中の給付金と、社会保険料や税金の扱いについて、ファイナンシャルプランナーの金子賢司さんに解説してもらいました。
育児休業については、こちらの記事も参考にしてください。
金子賢司さん(ファイナンシャルプランナー)
目次
育児休業給付金は、いくらもらえる?
育児休業中は、一定の要件を満たすと、「育児休業給付金」が支給されます。
育児休業給付金の概要について見ていきましょう。
1歳(両親が取得するときは1歳2ヶ月、保育所に入所できないなどの場合は最長2歳)に満たない子を養育するために育児休業をした場合、育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金を受給するためには以下の要件を満たしていることが必要です。
①雇用保険に加入していること
②育児休業を開始する前の2年間、11日以上勤務した月が12回以上あること
また、パート・アルバイトなど期間を定めて雇用される人は、子が1歳6ヶ月になるまでに、労働契約が満了することが明らかでないことも要件です。
支給期間
母親の場合 | 父親の場合 |
生後8週以降から、子供の1歳の誕生日の前々日まで (産前産後休業の期間中は、出産手当金の制度があります) |
出産日から、子供の1歳の誕生日の前々日まで |
支給額
休業開始~180日 | 181日以降 |
休業開始時賃金日額×支給日数×67% (上限あり。支給日数が30日の場合、約31万円が上限) |
休業開始時賃金日額×支給日数×50% (上限あり。支給日数が30日の場合、約23万円が上限) |
※休業開始時賃金日額…育児休業開始前(産前産後休業を取得した場合は、原則、産前産後休業開始前)6ヶ月間の賃金を180で割った金額
では、実際にいくら支給されるのか、おおよそのイメージを計算例で見ていきましょう。
計算例
▶例1
賃金月額が30万円の場合 (※賃金月額 休業開始時賃金日数×支給日数)
・休業開始~180日まで 30万円×67%=約20万円
・休業開始~181日以降 30万円×50%=15万円
▶例2
賃金月額が50万円の場合
・休業開始~180日まで 50万円×67%=約34万円 ただし、上限が約31万円なので約31万円が支給
・休業開始~181日以降 50万円×50%=25万円 ただし、上限が約23万円なので約23万円が支給
◆賃金月額が多い人ほど、実際の賃金と育児休業給付金の差が多くなるので注意が必要です。
◆事業主から一定の賃金が支払われた場合、育児休業給付金は一部、または全部が支給停止になります。
知っておきたい社会保険料の免除
育児休業中の社会保険料について
育児休業中は、健康保険料や厚生年金保険料のなどの社会保険料が免除となります。
また、免除期間中も年金保険料の納付期間としてみなされる他、健康保険の給付も通常通り受けられます。
さらに、育児休業給付金を受給している間、給与が支払われていなければ雇用保険料の負担もありません。
社会保険料免除期間は?
育児休業開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月までの社会保険料が免除となります。
また、月の途中で短期間の育児休業をした場合も、同月中に14日以上取得していれば社会保険料は免除されます。
なお、賞与にかかる社会保険料については、賞与月の末日を含む連続した1か月を超える育児休業を取得した場合に限り、免除の対象となります。
給付金は非課税! 給付と免除で休業前の約8割カバー
育児休業給付金に対して所得税はかかりません。また、翌年度の住民税の算定に育児休業給付金は反映されません。
厚生労働省の試算によると、育児休業を取得して、育児休業給付金を受給した場合、社会保険料免除や所得税の軽減によって、休業前の手取り賃金と比較して、約8割が支給されることになります。
育児休業中の収入が心配な方も、こうした経済的支援制度を知ることで、安心して育児休業を取得できるのではないでしょうか。ぜひ制度を活用して、大切な時間を過ごしていただけたらと思います。
◆他の育業スペシャル企画はこちら