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子育てマンガ「親子の絆も繋げる裁縫」
プロフィール
エイイチ
東京のデザイン会社に勤めた後、フリーランスのイラストレーターに。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭インターナショナル・ショートフィルム・ショウケース部門優秀アニメ賞を受賞するなど、アニメ、漫画、イラストの制作で頑張るパパ。
心を込めてハンドメイド!パパの裁縫で家族を喜ばそう
ボタンやゴムの付替え、保育園の入園グッズの制作など、
子供が小さいときには何かと必要となってくるのが裁縫のスキル。
ですが、学生時代に家庭科の授業で針を持ったのを最後に、
日常生活で裁縫をすることはほとんどないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は
裁縫スキルを身につけるメリットをご紹介します。
後半では、裁縫初心者のパパが小物づくりに挑戦します!
裁縫は生活に役立つスキル!
1990年代初頭。当時では男性が家庭科の教員免許を取得することが困難であった時代に、それまで指導していた英語から家庭科の道へ転身した元高校教師の南野忠晴さん。
裁縫に苦手意識のある人も一歩踏み出して始められるようなお話をお伝えします。
性別関係なく裁縫をする時代へ
私は、自分がパパになったことを機に家庭科について興味を持ち始め、大学の通信制度を利用し家庭科を習い始めました。
そして1994年頃に教員として、家庭科の授業を受け持つようになりました。ちょうど私が教鞭をとり始めた頃、中学・高校で家庭科の授業を習うことが男性も必須になります。今の40歳半ばの人たちでイクメンと言われている人は、家庭科を習うようになった人たちが子供を持ち、その知識を使えるようになったことが理由の一つと考えられます。家庭科の男女共修は非常に重要な分岐点であったと感じますね。
また、いまの50歳以上の方々で、裁縫や料理などの家事に苦手意識がある人は、そもそも「学んでいないからわからない」ことが理由だと思います。「男子厨房に入らず」という言葉もありましたからね(笑)。裁縫は女性がやるものというイメージが強いのも、このような時代背景によると思います。
家庭科の教員になって間もなく、高校3年生の女子生徒が、1年生が男女共に調理実習を行っている姿をみて、「いいな、この子達は。男も女も家事をするのが当たり前の文化で育つことになるから。私達の年代は『女が家事をするもの。』と習って育ったから」と言っていたのを今でも鮮明に覚えています。その子はちょうど女性だけが家庭科の授業を受ける年代の最後の学生でした。
このような時代を経て、少しずつですが男性の家事・育児への参画に変化が現れていることに私は喜びを感じています。家庭科を習わなかった世代の男性も、定年後に裁縫を始めたり料理教室に通ったりと、家事に参画し始めています。これらが次の世代にも浸透し、男性が裁縫をすることが当たり前になると良いと思います。
裁縫スキルはメリットがたくさん!
小物や衣類などは一歩街に出ると安くて良いものが簡単に手に入る時代になりました。
裁縫ができないと着る服や小物がないというようなことはありません。そのため、中々ご自身で小物を作ったり、余った布を再利用したり、物を修理するというようなことも多くないかもしれません。しかし、裁縫のスキルを身に付けるメリットは大きいと思います。
例えば、シャツなどのボタンが取れた際に夫婦どちらも裁縫スキルを身に付けておけば、パートナーに頼ることなく自分でサッと直すことができますよね。ワッペンを貼ったり、破れた部分を補修することで服を長い期間着ることができます。
また職場でお洒落を楽しむために、シャツのボタンを自分好みのものに変えて楽しむことができます。自分のこだわりのためにパートナーに負担をかけることもありません。
裁縫は育児シーンでも大いに役に立ちます。入園グッズを子供の好みの布やキャラクターを用いて作ってあげることで、それらに愛着を抱き大切に使ってくれます。どこのお店にも売っていない自分だけのオリジナルをプレゼントしてみてください。
また、使わなくなったTシャツやハンカチを再利用し、巾着袋や雑巾に作り直したりすることで、エコになることを子供たちに伝えることもできます。SDGsに向けて家庭内から意識をもつきっかけになるでしょう。
裁縫だけではなく、料理、掃除、洗濯など家庭内において、パートナーや子供のために役立つスキルを身につけ自分でできることが増えると自信に繋がります。今後、何十年も今と同じような暮らしが続くかはわかりません。ちょっとしたことでも自分でできる“生き延びる力”を持つのはとても大切だと思います。
家族が喜ぶ手作り小物にトライ!
たまにはお店で購入した商品ではなく、一生懸命愛情を込めて作ったものを家族にプレゼントしてみませんか?
都内で裁縫教室を展開する原みちこさんの指導のもと、一児のパパの山本大地さんがティッシュケース作りに挑戦!その制作の様子をリポートしました!
大地さん
まずは布選びから
大地さん
生地はどんなものを選べばいいですか?
原さん
無地よりも模様がある生地のほうが子供は喜ぶと思いますよ。 今回はハンドメイドのお店で購入したものを使用しますが、 使わなくなったシャツなどでも作ることができます。 綿製のものは、生地が伸びにくく丈夫なためおすすめです。
大地さん
なるほど、今回は動物好きの子供のためにこれにします!
原さん
表面と裏面で異なるデザインにするために、2つ布を使うのもありですね^^
裁縫スタート!
大地さん
久しぶりに針と糸を使うので、1辺(15cm)を縫うのに30分もかかってしまいました。縫い目の長さもまばらです。(汗)
原さん
うまくできなくても大丈夫です。何回もしないと上手にはならないですよ。(笑)
焦って適当に縫ってしまうよりも、ひと針ずつ丁寧に縫ったほうがほつれることがありません。
だんだん慣れてきた様子
大地さん
だんだんコツをつかんできました。縫い目の間隔も合ってきました!
原さん
いい調子です。完成後のイメージを考えたり、プレゼントしたときのパートナーや子供の喜ぶ笑顔を想像すると更に頑張ろうと思いますよね。
完成
大地さん
完成しました!先生に比べたら倍以上も縫う時間がかかってしまいましたが、その分愛情をたくさん込められたと思います!(笑)
原さん
最初から最後まで、丁寧に縫えていますね^^上手に作れています!お疲れさまでした!
大地さん
久しぶりの細かい作業で非常に大変でしたが、集中して取り組むことができました。完成した物を子供と妻に見せるときのリアクションが楽しみです!
これを機に、ボタンが取れたり、小物のネーム刺繍などの手縫いであれば自分でどうにかできそうです。案外慣れると簡単だったので、これからは妻に頼らないようにしたいです。
その後、完成したティッシュケースを、家族にプレゼントした大地さん。
手作りのプレゼントをもらった妻の夏恋さんと息子のゆうすけ君(仮名)の感想は?
◯妻 夏恋さん
正直、ティッシュケースなんて買ったほうが安いし丈夫だと思いますが、それでも自分のために作ってくれたと思うととても愛着がわいて大切にしたくなります。家事レベルが上ったと思いますので、これからはパパに裁縫のお願いができそうで楽しみです。今度は何を作ってもらおうかな(笑)
◯子供・ゆうすけ君(仮名)
とっても嬉しい!!パパありがとう!物を大切にしなきゃって思うようになった!
※写真はイメージです。
ポケットティッシュの作り方
必要な材料・道具
- 布(Tシャツやハンカチなどでも可)縦20.5cm × 横15cmを2枚
- 縫い針とマチ針(10本程度)
- 好きな色の糸
- 印付のためのペン or チャコペンなど
- ものさし
- アイロン
制作手順
※玉結びや返し縫いなどの基本的な裁縫方法は下記を御覧ください。
文部科学省「裁縫(手縫い)」
https://www.youtube.com/watch?v=TnIQidPhXV8
布を縦20 cm横15cmの長方形で2枚用意します。
(1枚の布のみ)裏面にして、短い辺2本の1cm内側に縫い代の線を引きます。
2枚の布を中表(※1)に重ねて、ずれないようにマチ針を打ちます。
(※1)2枚の布を重ねる時に、布の表面同士が内側になるように合わせること
片方の線の上を3-5mm程度の幅で縫います。
- 縫い初めの箇所は1,2往復し、強固にしておくと良いでしょう。
- 並縫いだと間が空いてしまうため、頑丈に縫える返し縫いがおすすめです。
もう片方の線は、中央あたりに、返し口(※3)を5cmほど縫い残します。
(※3)布を縫い合わせたあと、表に返すために縫わずにあけておく部分
縫い合わせた2辺が、完成時にティッシュケースの入れ口部分になります。
縫い代を割ってその上からアイロンをかけます。
入れ口部分を内側に折りこみ、入れ口部分同士を5mm程度重ね合わせます。
その状態で布を畳み、まち針で固定します。
短辺の1cm内側に縫い代線を引きます。
線の上を縫います。
縫い終わったら返し口から指を通して、表にひっくり返します。
ひっくり返したら、角を、目打ちなどの尖ったものをつかってキレイに整えましょう。
最後に返し口部分の空いている穴を縫います。
- 返し口部分は、コの字まつり縫いで縫うと、縫い目が見えず綺麗に仕上がります。
これで完成です。
裁縫ができると、自分にとってはもちろん、家族や環境などにも良いことづくしのようですね。
ハードルが高そうに感じるかもしれませんが、まずは簡単な小物づくりから始めてみて、家族とのコミュニケーションを増やしてみてはいかがでしょうか。
学生時代の家庭科の授業を最後に、針を触っていないのでうまくできるか心配ですが、がんばります!