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 おじいちゃん・おばあちゃんと協力して子育てをしていくとき、その手法の違いに戸惑うことがあるかもしれません。これはおじいちゃん・おばあちゃんが子育てをしていたときに常識だとされていた内容が、新たな研究結果を受けて変わったことが原因です。では、どこが変わったのでしょう。代表的な事例について、小児科専門医で『祖父母手帳』の著者でもある森戸やすみさんにお話を伺いました。

ギャップが生まれるのは仕方ないこと

 小児医療をはじめ子育てに関することはまだわかっていないことがたくさんあります。さまざまな研究が続いており、新しい研究結果が発表されるたびに、それまでの常識が変わるのです。今の子育ての常識も変わる可能性があります。母子手帳に書かれている内容も変わりますし、年の離れた兄弟姉妹を育てている方なら、上の子のときと下の子のときでも常識が変わることがあります。

 おじいちゃん・おばあちゃんとパパ・ママで子育ての常識にギャップが出るのは仕方がないことなのです。

果汁は離乳食が始まってから

(インタビュー)変わっていく子育ての常識を知り、ギャップを埋めよう!

 例えば食事についての常識も変わっています。

 かつては生後3カ月ごろから果汁を飲ませるように指導されていて、母子手帳にも生後3~4カ月の欄に「薄めた果汁やスープを飲ませていますか」と書かれていました。祖父母世代にはこれに習って、果汁を飲ませていた人が多いかと思います。

 しかし2007年に厚生労働省から「離乳食前の赤ちゃんにとって最適な栄養源は母乳や粉ミルクであり、果汁は必要ない。果汁を飲むことで母乳や粉ミルクを飲む量が減り、栄養不足を招く」と発表されました。よって今は、果汁もそうですが、白湯や野菜スープ、イオン飲料なども、離乳食開始前に与える必要はないと考えられています。

 また、食べさせ方についても、おじいちゃん・おばあちゃんのころは、親が噛み砕いた食べ物を与えることがあったと思いますが、虫歯菌が唾液から感染することがわかったため、今は良くないとされています。唾液を通じては、虫歯菌だけでなく、ピロリ菌などの細菌や風邪や口唇ヘルペスなどのウイルスが感染する可能性もあります。口へのキス、スプーンやコップなど食器の共有もやめておきましょう。

日光浴はほどほどに

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 かつては「日焼けした肌は健康の証」と言われていたため、おじいちゃん・おばあちゃんが子育てをしていたころは、積極的に赤ちゃんに日光浴をさせていたと思います。ところが、紫外線を浴びすぎると肌に害があることがわかり、大人でも紫外線対策を日常的にしている今は、赤ちゃんに日光浴はあまりさせないという考え方が主流です。

 一方で、紫外線に当たることによって生成されるビタミンDの不足が原因で、「くる病」などの病気になる子供も増えています。食事でビタミンDを補うことも必要ですが、ある程度の紫外線に当たらせることも大切です。

 よって紫外線が強すぎる直射日光ではなく、紫外線が弱い朝早い時間帯に日光浴をするとか、日陰で外気に触れる外気浴をするのがいいでしょう。紫外線量は曇りのときでも晴れのときの80%と意外と多いので、当たりすぎには十分に気をつけてください。

熱が出たときは涼しく

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 熱が出たときの対応にも変化があります。以前は熱が出たときは厚着をさせて、汗をかかせた方がいいと言われていましたが、こうすると必要以上に熱が上がってしまうのでやめた方がいい。

 できるだけ涼しく過ごせるように薄着にして、掛け布団もいつもより1枚少ないくらいがいいでしょう。子どもは暑苦しくても自分では調節できないので、とくに気をつけてください。

 熱があるのに汗をかかないと心配する人もいますが、病気が治って熱を高くする必要がなくなると、体が汗をかいて熱を下げるわけです。汗をかくと治るのではなく、治ると汗をかくのです。この点を理解しておきましょう。

 また、発熱は免疫力を高めて細菌やウイルスが増殖することを抑えるために体が行っていることなので、解熱剤などで無理に下げる必要はありません。ただし、赤ちゃんが高熱であまりにも辛そうな状態だったら、和らげるために体温を下げてもいいです。その場合は,解熱剤を使ってもいいですし、氷のうなどを使う場合は頭を冷やすのではなく、大きな血管が通っている脇の下や首の周り、足の付け根などを冷やすと効果的です。

 いずれにしても心配な症状がある場合は病院などで受診してください。

よく遊び、よく食べ、よく寝ることが大事なのは変わらない

 子供の体に関する常識はいろいろ変わっていますが、子供が健康に過ごすために、運動と食事と睡眠が大事なことは変わっていません。たくさん遊ぶと食欲も増すので、よく食べますし、しっかり体力を使うので、よく寝ます。「子供は遊びが仕事」と言われてきましたが、それは今でも通じますね。

 そして病気や怪我などから子供を守るために、周りの大人が目を離してはいけないということも変わりません。パパ・ママ、おじいちゃん・おばあちゃんもしっかり見守って、たくさん遊ばせてあげてください。